公募研究
がん原発巣におけるがん細胞のエピゲノム変化と転移との関連解明実験において、腫瘍微小環境においてがん細胞で発現誘導されるDNA脱メチル化酵素が、解糖系関連酵素遺伝子の発現誘導に関与していることを見出した。現在、DNA脱メチル化酵素をノックダウンしたがん細胞株を用いた移植実験を実施しており、がん原発巣における低酸素環境がDNA脱メチル化酵素を介したエピゲノム変化やこれに伴う細胞代謝の変化を引き起こし、がん細胞の増殖や生存に寄与している可能性を検討している。移植前のがん細胞と移植後に肺転移したがん細胞間で細胞代謝を比較したところ、肺転移したがん細胞では、解糖系が亢進していることを見出した。さらに、移植前のがん細胞に比べ移植後に肺転移したがん細胞では解糖系関連酵素遺伝子の発現が亢進していることが明らかとなった。そこで、肺転移したがん細胞における解糖系関連酵素遺伝子の発現亢進のメカニズムを検討したところ、肺転移した骨肉腫細胞ではMEK-ERK-HIF経路が活性化し、細胞代謝が解糖系にシフトしていることが明らかとなった。また、移植前のがん細胞と移植後に肺転移したがん細胞をそれぞれ経静脈的にマウスに投与し、肺におけるがん細胞の増殖を検討すると、移植前のがん細胞ではほとんど増殖が認められないのに対し、肺転移したがん細胞では肺組織における増殖が認められた。以上より、原発巣におけるがん細胞のエピゲノム変化とこれに伴う細胞代謝変化が転移したがん細胞においても記憶として維持され、その増殖や生存に寄与している可能性が示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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