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2014 年度 実績報告書

興奮を惹起する新規Focal spotグリアアセンブリの解析

公募研究

研究領域グリアアセンブリによる脳機能発現の制御と病態
研究課題/領域番号 26117502
研究機関群馬大学

研究代表者

柴崎 貢志  群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20399554)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワードTRPV4 / アストロサイト / グリア / グリオトランスミッター / シナプス / 神経伝達
研究実績の概要

申請者は、温度センサー・TRPV4が海馬に強く発現していることを見いだした。そして、その生理学的役割を解析した結果、海馬神経細胞において、TRPV4は脳内温度により恒常的に活性化し、静止膜電位を脱分極させることで神経細胞が興奮しやすい土台環境を産み出していることを突き止めた。この解析の中でTRPV4は神経細胞のみならず、アストロサイト・ミクログリアにも発現していることを見いだした(J.Neurosci. 2007、GLIA 2012、BBRC 2013)。そして、アストロサイトTRPV4は脳内に存在するアラキドン酸により活性化し、ギャップ結合とATP放出を介して近傍の他のアストロサイトを興奮させ、それらがグルタミン酸放出を行うことで、シナプス活性を増強していることを明らかにした(JBC 2014)。これらの背景事情に基づき、TRPV4陽性アストロサイトが分泌している新規グリオトランスミッターの同定とその生理作用を明らかにする。さらに、TRPV4陽性アストロサイトと陰性アストロサイトを識別しうる新たな分子マーカーの同定を行い、神経興奮を惹起するFocal spotとして存在するアストロサイト亜種の詳細な性質を明らかにする。
TRPV4陽性アストロサイトはATPやグルタミン酸以外の新規グリオトランスミッター候補分子も分泌していることを培養上清のMALDI-TOF MASS解析により明らかにした。その候補分子は4種類のトリペプチドであった。質量分析結果からはアミノ酸組成のみしか判明しないため、それぞれのトリペプチドにアミノ酸配列順序を考慮した候補が存在する。本年度は、この4種類の新規グリオトランスミッター候補トリペプチドの中で、神経興奮を惹起する活性を持つものの同定を試み、この中で2種類にシナプス伝達を増強させる作用があることを見いだした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

群馬大学動物実験施設建て替え工事のため、TRPV4KOマウスの繁殖・維持が希望通りに行えず、実験計画が遅延した。

今後の研究の推進方策

本年度の研究結果からTRPV4陽性アストロサイトが放出する新規グリオトランスミッター候補分子を培養上清のMALDI-TOF MASS解析と電気生理学解析により明らかにした。TRPV4KOマウスの繁殖後に、WTとTRPV4KOアストロサイトを用いて、TRPV4刺激依存的に放出されるグリオトランスミッターであるのかという検証作業を進める。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Motor dysfunction in cerebellar Purkinje cell-specific vesicular GABA transporter knockout mice.2014

    • 著者名/発表者名
      Kayakabe M, Kakizaki T, Kaneko R, Sasaki A, Nakazato Y, Shibasaki K, Ishizaki Y, Saito H, Suzuki N, Furuya N, Yanagawa Y
    • 雑誌名

      Front Cell Neurosci.

      巻: 7 ページ: 286

    • DOI

      10.3389/fncel.2013.00286.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Modulation of water efflux through functional interaction between TRPV4 and TMEM16A/anoctamin 12014

    • 著者名/発表者名
      Takayama Y, Shibasaki K, Suzuki Y, Yamanaka A, Tominaga M
    • 雑誌名

      FASEB J.

      巻: 28(5) ページ: 2238-2248

    • DOI

      10.1096/fj.13-243436.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A novel subtype of astrocytes expressing TRPV4 (transient receptor potential vanilloid 4) regulates neuronal excitability via release of gliotransmitters.2014

    • 著者名/発表者名
      Shibasaki K, Ikenaka K, Tamalu F, Tominaga M, Ishizaki Y
    • 雑誌名

      J. Biol. Chem.

      巻: 289(21) ページ: 14470-80

    • DOI

      10.1074/jbc.M114.557132.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] てんかん原性域の局所温度上昇とTRPV4活性化2015

    • 著者名/発表者名
      柴崎貢志
    • 学会等名
      日本生理学会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2015-03-26
  • [学会発表] Novel subtypes of astrocytes regulate neuronal excitability via release of gliotransmitters2015

    • 著者名/発表者名
      Shibasaki K
    • 学会等名
      日本生理学会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2015-03-25
  • [学会発表] メカノセンサーTRPV2活性化が軸索伸長を促す分子基盤2014

    • 著者名/発表者名
      柴崎貢志、杉尾翔太、石崎泰樹
    • 学会等名
      日本神経化学会
    • 発表場所
      奈良
    • 年月日
      2014-09-30
  • [学会発表] てんかん原性域の局所温度上昇に伴う病態化とその分子基盤2014

    • 著者名/発表者名
      柴崎貢志
    • 学会等名
      日本神経科学会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2014-09-12
  • [学会発表] Astrocytes express functional TRPV2 ion channels2014

    • 著者名/発表者名
      Shibasaki K
    • 学会等名
      Forum of European Neuroscience
    • 発表場所
      Milan, Italy
    • 年月日
      2014-07-14
    • 国際学会
  • [備考] 柴崎貢志 研究内容

    • URL

      http://www.nips.ac.jp/cs/sibaHP/shibasaki.html

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公開日: 2017-01-06  

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