公募研究
グリア細胞の存在は多くの生物種で知られているが,ほ乳類以外の動物において神経系で,脳機能の制御に積極的に関わるか否かは明らかにされていない.本研究では,が透明で遺伝子組換え動物の作成が容易であり,逃避行動に関わる神経回路に関する知見が豊富なゼブラフィッシュの利点を生かし,グリア細胞におけるカルシウムシグナルが個体の行動制御を司る可能性を明らかにした。細胞膜に標的したGCaMP6f(LCK-GCaMP6f)をGFAPプロモータ制御下で発現するゼブラフィッシュを用いて受精後3-7日稚魚脳のin vivoイメージングを行い,視蓋,後脳,脊髄のグリア細胞で自発的なカルシウムシグナルが存在することを確認した.また、逃避行動を誘起する聴覚刺激(500 Hz)を与えたところ,後脳のグリア細胞では自発的カルシウムシグナルとは異なる,より長く広範囲に広がるカルシウムシグナルが観察された.この結果は、魚類でも神経活動に伴ってグリア細胞の活動が誘起されることを示唆している.また、Young gliaの枠組みで、デュッセルフ大学のGriemsmaan博士と共同で、げっ歯類アストロサイトAMPA受容体の1分子イメージング実験を行った。さらに、ER標的型のGCaMP6fを開発し、げっ歯類海馬アストロサイトにおいて自発的カルシウムシグナルイメージングを行ったところ、実はERからのカルシウム放出よりもカルシウム流入の方が多いことがわかった(Niwa et al. 2016). このカルシウム流入は正体はStore operated Ca2+ channel (SOCC)を介しておこっており、海馬アストロサイトではERが枯渇しない状態でもSOCCが恒常的に活性化され、ERのカルシウム量を一定に保つことに貢献していることが示された(Sakuragi et al. 2017)。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件) 備考 (1件)
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