公募研究
我々は自然発生的な変異を遺伝子レベルでスクリーニングすることにより、遺伝子機能が改変された動物モデルを発見・繁殖する道筋を提案してきた。例えば色覚異常カニクイザル、味覚異常ニホンザル、早老症モデルニホンザル等であり、本来機能すべき受容体が欠損しているための表現型を、タンパク質や遺伝子スクリーニングしたサルの行動から明らかにしている。このような手法は末梢の感覚神経系だけでなく、広く神経細胞やグリア、その他の生体機能にも応用可能である。実際、申請者らは霊長類のゲノム試料を用いて精神疾患のリスク因子として知られているカテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)や脳由来神経栄養因子(BDNF)等で変異スクリーニングを行い、COMTでニホンザル特異的な変異を見いだして個体レベルの解析に進めた。これらの変異個体の出現頻度は希であり、計画的な交配等によって、より効率的に個体を維持・繁殖すると共に、成長に時間を要する霊長類の場合は、細胞レベルでの表現型解析をする方が望ましい。実際、名古屋大学との共同研究で発見された10番染色体の一部に重複のある個体については、統合失調症患者で発見された22番染色体の重複と酷似しているのにもかかわらず、変異個体が1頭しか発見できず子孫にもこの変異が遺伝している個体が、まだ発見されていない。そこで我々は、現在この個体の皮膚から線維芽細胞を培養し、iPS細胞他を経由して神経細胞やグリア細胞を誘導することを試みた。アデノシン受容体ADORA2A等、グリアに発現する遺伝子を含む変異細胞の表現型解析を進めると共に、ADORA2AそのもののSNP等についても解析を進めた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
Biophysics and Physicobiology
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