研究実績の概要 |
神経因性疼痛は、疼痛による機能障害から精神的苦痛、睡眠障害などをもたらすことから、多くの患者が著しいQOL の低下に苦しんでおり、大きな社会問題として残されている。本プロジェクトでは、神経因性疼痛におけるグリアアセンブリの破綻の重要な分子としてAQP4 に注目し、AQP4ノックアウトマウスを用いて解析していくことを目的とした。 最初に、後根神経節のサテライトグリアにおいても中枢神経アストロサイトと同様、AQP4が発現しているか免疫組織学的に検討した。その結果、三叉神経節および後根神経節にAQP4が発現していることが解った。さらに、グリア細胞のマーカーであるとの発現パターンから、AQP4の発現は神経細胞ではなく周囲のグリア細胞であることを確定した。尚、後根神経節におけるAQP4の発現量は、三叉神経節における発現量に比べてわずかであった。 次に、AQP4ノックアウトマウスを用いて行動解析を行い、神経因性疼痛の病態(坐骨神経損傷、spared nerve injury (SNI) モデル)におけるAQP4の関与を検討した。その結果、野生型マウスとAQP4ノックアウトマウスの間に有意差を認めることはできなかった。 これらの研究成果を論文として発表した。
(Kato J, Takai Y, Hayashi MK, Kato Y, Tanaka M, Sohma Y, Abe Y, Yasui M. Expression and localization of aquaporin-4 in sensory ganglia. Biochem. Biophys. Res. Commun. 451(4):562-7. (2014))
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