髄鞘による軸索機能制御に関わる細胞内・細胞間情報伝達機構の解明

2015 年度 実績報告書

• 研究領域: グリアアセンブリによる脳機能発現の制御と病態
• 研究課題/領域番号: 26117519
• 研究機関: 近畿大学
• 研究代表者: 宮田 信吾 近畿大学, 東洋医学研究所, 准教授 (70403194)
• 研究期間 (年度): 2014-04-01 – 2016-03-31
• キーワード: 髄鞘 / 軸索 / 慢性ストレス / オリゴデンドロサイト / リン酸化 / メチル化 / グルタミン酸受容体 / Src

研究実績の概要

本研究では、近年やっと明らかになってきた髄鞘形成後の軸索と髄鞘OLs間の活発な細胞間情報伝達機構について、髄鞘/軸索それぞれのシグナル伝達機構だけでなく、髄鞘形成時期のOLsによる軸索グループ化の分子機序の解明、および新規に見出した髄鞘の構造変化の分子機序を解明することにより、詳細な分子機序を明らかにすることを目指している。
平成27年度は、昨年度までの検討で見出したOLsの様々な構造変化が神経機能にどのような影響を与えるのか検討を行った。まず、伝導速度は構造変化により低下傾向を示し、軸索活性レベルとしてNa-K ATPase活性を測定したところ、構造変化により低下傾向を示した。この神経軸索の活性低下は髄鞘OLsの制御を受ける可能性があるのか否か検討するため、CaイオンやNaイオンの変化を捉えることの出来るOLsの細胞膜電位変化を測定したところ、神経細胞や未成熟OLsでは有意差が付かなかったが、成熟OLsのみ膜電位変化が有意に低下することを見出した。さらに、DBZ KOマウスを用いた検討から、慢性ストレスによるFynのC端リン酸化亢進が観察された。
以上の検討結果から、慢性ストレスによる成熟OLsの活性低下機構を明らかに出来ただけでなく、OLsの構造変化によるランビエ絞輪部の機能低下を引き起こすことにより神経軸索活性の低下及び刺激情報制御レベルの低下を引き起こす可能性を見出すことが出来た。原著論文としてBBRCやScientific Reportsに2年間の本研究成果を掲載済みである。

現在までの達成度 (段落)

27年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

27年度が最終年度であるため、記入しない。

研究成果

• [雑誌論文] Association between chronic stress-induced structural abnormalities in Ranvier nodes and reduced oligodendrocyte activity in major depression. (2016)
  • 著者名/発表者名: Miyata S, Taniguchi M, Koyama Y, Shimizu S, Tanaka T, Yasuno F, Yamamoto A, Iida H, Kudo T, Katayama T, Tohyama M.
  • 雑誌名: Sci Rep. 巻: 6 ページ: 23084
  • DOI: 10.1038/srep23084.
  • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Sgk1 regulates desmoglein 1 expression levels in oligodendrocytes in the mouse corpus callosum after chronic stress exposure. (2015)
  • 著者名/発表者名: Miyata S, Yoshikawa K, Taniguchi M, Ishikawa T, Tanaka T, Shimizu S, Tohyama M.
  • 雑誌名: Biochem Biophys Res Commun. 巻: 464(1) ページ: 76-82
  • DOI: 10.1016/j.bbrc.2015.05.109. Epub 2015 Jun 1.
  • 査読あり / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] The Kampo Medicine Yokukansan Decreases MicroRNA-18 Expression and Recovers Glucocorticoid Receptors Protein Expression in the Hypothalamus of Stressed Mice. (2015)
  • 著者名/発表者名: Shimizu S, Tanaka T, Takeda T, Tohyama M, Miyata S.
  • 雑誌名: Biomed Res Int. 巻: 2015 ページ: 797280
  • DOI: 10.1155/2015/797280.
  • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Yokukansan normalizes glucocorticoid receptor protein expression in oligodendrocytes of the corpus callosum by regulating microRNA-124a expression after stress exposure. (2015)
  • 著者名/発表者名: Shimizu S, Tanaka T, Tohyama M, Miyata S.
  • 雑誌名: Brain Res Bull. 巻: 114 ページ: 49-55
  • DOI: 10.1016/j.brainresbull.2015.03.007.
  • 査読あり / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Miyata S, Hattori T, Shimizu S, Ito A, Tohyama M. (2015)
  • 著者名/発表者名: Disturbance of oligodendrocyte function plays a key role in the pathogenesis of schizophrenia and major depressive disorder.
  • 雑誌名: Biomed Res Int. 巻: 2015 ページ: 492367
  • DOI: 10.1155/2015/492367.
  • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Molecular basis of major psychiatric diseases such as schizophrenia and depression. (2015)
  • 著者名/発表者名: Tohyama M, Miyata S, Hattori T, Shimizu S, Matsuzaki S.
  • 雑誌名: Anat Sci Int. 巻: 90(3) ページ: 137-43
  • DOI: 10.1007/s12565-014-0269-3.
  • 査読あり
• [学会発表] 抑肝散によるストレス応答機構制御の可能性 (2016)
  • 著者名/発表者名: 宮田信吾、清水尚子、田中貴士、松村彬世、川上あゆみ、鹿島美恵子、遠山正彌
  • 学会等名: 第121回日本解剖学会総会･全国学術集会
  • 発表場所: 福島 ビッグパレットふくしま
  • 年月日: 2016-03-28 – 2016-03-30
• [学会発表] Plasma corticosterone regulates cadherin superfamily molecules in oligodendrocytes in the mouse corpus callosum (2015)
  • 著者名/発表者名: Shingo Miyata, Keiko Yoshikawa, Manabu Taniguchi, Toshiko Ishikawa, Takashi Tanaka, Shoko Shimizu, Masaya Tohyama
  • 学会等名: 第20回グリア研究会
  • 発表場所: 名古屋 名古屋市立大学
  • 年月日: 2015-12-05 – 2015-12-05
• [学会発表] うつ病発症に関わるオリゴデンドロサイトの機能異常に関する研究 (2015)
  • 著者名/発表者名: 宮田信吾、清水尚子、田中貴士、松村彬世、川上あゆみ、鹿島美恵子、遠山正彌
  • 学会等名: BMB2015, 第38回日本分子生物学会年会、第88回日本生化学会大会 合同大会
  • 発表場所: 神戸 神戸国際会議場
  • 年月日: 2015-12-01 – 2015-12-04
• [学会発表] オリゴデンドロサイトのストレス応答と抑肝散 (2015)
  • 著者名/発表者名: 宮田信吾、清水尚子、田中貴士、松村彬世、川上あゆみ、遠山正彌
  • 学会等名: 第91回日本解剖学会近畿支部学術集会
  • 発表場所: 京都 京都工芸繊維大学
  • 年月日: 2015-11-28 – 2015-11-28
• [学会発表] 慢性ストレス応答と抑肝散による自律神経系制御の可能性 (2015)
  • 著者名/発表者名: 宮田信吾、清水尚子、田中貴士、松村彬世、川上あゆみ、遠山正彌
  • 学会等名: 第68回日本自律神経学会総会
  • 発表場所: 名古屋 ウインクあいち
  • 年月日: 2015-10-29 – 2015-10-30
• [学会発表] 抑肝散の抗ストレス作用 (2015)
  • 著者名/発表者名: 清水尚子、宮田信吾、田中貴士、遠山正彌
  • 学会等名: 第68回日本自律神経学会総会
  • 発表場所: 名古屋 ウインクあいち
  • 年月日: 2015-10-29 – 2015-10-30
• [学会発表] 中枢神経系の発達における細胞骨格制御因子MARCKSL1の役割 (2015)
  • 著者名/発表者名: 田中貴士、宮田信吾、清水尚子、遠山正彌
  • 学会等名: 第68回日本自律神経学会総会
  • 発表場所: 名古屋 ウインクあいち
  • 年月日: 2015-10-29 – 2015-10-30
• [学会発表] MicroRNA normalizes glucocorticoid receptor levels in neuron and oligodendrocytes after stress exposure (2015)
  • 著者名/発表者名: Shingo Miyata, Shoko Shimizu, Takashi Tanaka, Masaya Tohyama
  • 学会等名: 第58回日本神経化学会大会
  • 発表場所: 埼玉 大宮ソニックシティ
  • 年月日: 2015-09-11 – 2015-09-13
• [学会発表] DBZ, a CNS-specific DISC1 binding protein, positively regulates oligodendrocyte differentiation (2015)
  • 著者名/発表者名: Shoko Shimizu, Shingo Miyata, Takashi Tanaka, Masaya Tohyama
  • 学会等名: 第58回日本神経化学会大会
  • 発表場所: 大宮ソニックシティ
  • 年月日: 2015-09-11 – 2015-09-13
• [学会発表] Functional analysis of protein arginine N-methyltransferase 8（PRMT8）in activated microglia that are induced by spinal cord injury (2015)
  • 著者名/発表者名: Yasutake Mori, Yoshihisa Koyama, Tokuichi Iguchi, Shingo Miyata, Masaya Tohyama, Makoto Sato
  • 学会等名: 第58回日本神経化学会大会
  • 発表場所: 大宮ソニックシティ
  • 年月日: 2015-09-11 – 2015-09-13
• [学会発表] Downregulation of microRNA normalizes glucocorticoid receptor levels in neuron and oligodendrocytes of stress exposed mice (2015)
  • 著者名/発表者名: Shingo Miyata, Shoko Shimizu, Takashi Tanaka, Masaya Tohyama
  • 学会等名: 第38回日本神経科学大会
  • 発表場所: 神戸 神戸国際会議場
  • 年月日: 2015-07-28 – 2015-07-30
• [学会発表] Yokukansan regulates miRNA expressions in the mice brain after stress exposure (2015)
  • 著者名/発表者名: Shingo Miyata, Shoko Shimizu, Takashi Tanaka, Masaya Tohyama
  • 学会等名: 第17回RNA学会年会
  • 発表場所: 札幌 ホテルライフォート札幌
  • 年月日: 2015-07-15 – 2015-07-17
• [学会発表] A novel approach for visualizing spatiotemporal regulation of cell-wide or localized translation (2015)
  • 著者名/発表者名: Shingo Miyata, Shoko Shimizu, Takashi Tanaka, Yasutake Mori, Masaya Tohyama
  • 学会等名: 新学術領域研究「グリアアセンブリによる脳機能発現の制御と病態」 第 2 回夏の(国際)ワークショッフ
  • 発表場所: 岡崎 生理学研究所
  • 年月日: 2015-07-10 – 2015-07-11
  • 国際学会
• [学会発表] Double nicking by CRISPR/Cas9 enhances genome editing specificity (2015)
  • 著者名/発表者名: Takashi Tanaka, Shoko Shimizu, Masaya Tohyama, Shingo Miyata
  • 学会等名: 新学術領域研究「グリアアセンブリによる脳機能発現の制御と病態」 第 2 回夏の(国際)ワークショッフ
  • 発表場所: 岡崎 生理学研究所
  • 年月日: 2015-07-10 – 2015-07-11
  • 国際学会
• [学会発表] Yokukansan regulates microRNAs expression and recovers glucocorticoid receptors protein expression in the brain of stressed mice. (2015)
  • 著者名/発表者名: 宮田信吾、清水尚子、田中貴士、新垣健太、金澤成行、武田卓、遠山正彌
  • 学会等名: 第15回日本抗加齢医学総会
  • 発表場所: 福岡 福岡国際会議場
  • 年月日: 2015-05-29 – 2015-05-31
• [備考] 近畿大学 東洋医学研究所 分子脳科学研究部門（基礎研究部門）
  • URL: http://www.med.kindai.ac.jp/toyo/study/index.html
• [備考] 近畿大学 東洋医学研究所 分子脳科学研究部門（基礎研究部門）研究成果
  • URL: http://www.med.kindai.ac.jp/toyo/study/results.html