公募研究
分岐型O-マンノース糖鎖は脳に限定して発現している。本申請者らは、脱髄に関わる分子である受容体タンパク質チロシンホスファターゼβ(RPTPβ)上に分岐型O-マンノース糖鎖が結合していることを明らかに。また、この糖鎖合成の開始点を担う糖転移酵素IX(GnT-IX)の欠損マウスにカプリゾンを投与して脱髄をモデルを作成した結果、WTマウスでは徐々に脱髄が進行していくのに対し、KOマウスでは再ミエリン化が亢進していることが明らかになった(Kanekiyo, K. Inamori, K. Kitazume, S. et al. J. Neurosci. (2013) 33, 10037-)。また、脱随時には分岐型O-マンノース糖鎖を持つRPTPβが脳梁部分の活性化アストロサイトに強く発現すること、KOマウスでは活性化アストロサイトの数が有意に少ないことなどを明らかにした。しかしながら、どのようなシグナル経路を介してアストロサイトの活性化が調節されるのか、またアストロサイトの活性化が複雑なステップから構成される再ミエリン化のどのステップに影響しているのか不明である。本研究では、アストロサイト上のRPTPβが分岐型O-Man糖鎖の有無によって活性が変化することで、下流のどのようなシグナル分子が影響を受け、細胞の活性化が調節されるのか明らかにすること、アストロサイトとオリゴデンドロサイトのクロストークの実体を明らかにすることを目的とする。平成26年度は、脱髄のどのステップにGnT-IX KOマウスに特徴的な変化があったのか明らかにするためあに、WTおよびGnT-IX KOマウスにカプリゾン投与を行い2週間ごとに脳のサンプリングを行い、各時期の脳梁部分の免疫組織化学的解析するための準備を行った。次年度は、オリゴデンドロサイト前駆体細胞、オリゴデンドロサイト、活性化アストロサイト、ミクログリアの浸潤数を計測すると共に、Ki67抗体も用いて分裂しているオリゴデンドロサイト前駆体細胞数を計測する計画である。
3: やや遅れている
実験に必要なマウス数をそろえるのに、少し時間がかかってしまったため、解析用の脳サンプルを保管したものの、解析は次年度に繰り越される形となってしまった。
今後は、サンプリングを行った脳切片について組織染色を進めると共に、脱随時に分岐型O-マンノース糖鎖を発現する細胞系譜を明らかにするために研究を推進していく計画である。
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