公募研究
植物細胞内共生リケッチアMIDORIKOによる細胞内共生遺伝子水平伝達(EGT)を調査する目的でホストのボルボックス(Volvox carteri)核ゲノム公開配列データと比較するために、我々は独自に次世代シーケンサーでドラフトゲノム配列を確立した。両ゲノム比較から V. carteri核ゲノム上のMIDORIKO遺伝子類似配列を探索した。また、MIDORIKOホストと近縁だがMIDORIKOを持たないV. carteriの複数株において、核ゲノムからMIDORIKO由来の遺伝子配列を検出し、これらの株において過去MIDORIKOが共生したことを示した。この結果は更に、MIDORIKOとの共生関係を継続しているホストの核ゲノムには、より大規模で発展的なEGTが生じていることを示唆た。つまり、MIDORIKOホスト核ゲノムでは、MIDORIKO遺伝子配列の転移に加え、配列の真核生物性構造の獲得とホストによる転写、翻訳が生じている可能性があると考えられた。MIDORIKOとホスト核ゲノムの間で、EGTプロセスがどの遺伝子で、どのような規模で生じ、どの程度進行したかを解明することで、ミトコンドリアの祖先バクテリアが過去、オルガネラ化初期に経験した現象を推測することが可能となると考えられた。このことから現在のミトコンドリアの共生の前後ににおいても1回だけではない共生があった可能性が示唆される。
2: おおむね順調に進展している
独自に次世代シーケンサーでMIDORIKOドラフトゲノム配列を確立した。両ゲノム比較から ホストボルボックスの核ゲノム上のMIDORIKO遺伝子類似配列を探索することができた。これらの成果は次の研究の大きな基盤となることが期待される。
得られたゲノムの比較からMIDORIKOとホスト核ゲノムの間で、EGTプロセスがどの遺伝子で、どのような規模で生じ、どの程度進行したかを解明することで、ミトコンドリアの祖先バクテリアが過去、オルガネラ化初期に経験した現象を推測することが可能となると考えられる。また、植物細胞内共生リケッチアの初のゲノム情報の確立を達成する。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
PLoS ONE
巻: 9 ページ: e101158
10.1371/journal.pone.0101158
巻: 9 ページ: e107702
10.1371/journal.pone.0107702
J. Phycol.
巻: 50 ページ: 1058-1069
10.1111/jpy.12236