公募研究
近年,原油の枯渇により,穀物から微生物による発酵プロセスで液体燃料や汎用化成品原料を生産するバイオリファイナリーの構築が進められている.しかし,この穀物の利用は食糧生産と競合するため,食糧価格高騰の問題を抱えている.研究代表者は繊毛虫と共生し,マルトースを細胞外に分泌する共生クロレラに注目した.共生クロレラにマルトースを高分泌させ,同時に微生物が発酵生産する事ができれば,前処理不要の生産プロセスを構築できる.しかし,共生クロレラのマルトース生産能は充分に評価されていない.そこで本研究では共生クロレラが分泌するマルトースをバイオリファイナリーの糖質源として利用するために,マルトース分泌機構の解明を通して,共生クロレラのマルトース生産能を評価する.平成27年度は,前年度に開発した培養システムを用いて,培養条件が共生クロレラのマルトース分泌能に及ぼす影響を調べた.その結果,二酸化炭素濃度を1%まで増加させることで,培養上清中のマルトース濃度を40 mg/Lに増加させることができた.そして,濃縮した培養上清から酵母によるエタノール発酵を行った結果,理論収率の20%で0.2 g/Lのエタノールを生産する事に成功した.共生クロレラが生産したマルトースを利用し,発酵プロセスを構築可能であることがわかった.さらに異なる二酸化炭素濃度条件での共生クロレラの細胞内代謝物の網羅的な解析を行ったところ,デンプン合成経路の代謝物が蓄積していることが明らかになった.デンプン合成能の強化によって,更に共生クロレラのマルトース生産能を強化できると考えられる.
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
Biotechnology Journal
巻: 10 ページ: 886-898
10.1002/biot.201400344
Photosynthesis Research
巻: 125 ページ: 211-218
DOI: 10.1007/s11120-015-0078-0, 2015.1.
Photsynth. Research
巻: 125 ページ: 191-199
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巻: 125 ページ: 201-210
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PLOS ONE
巻: 10 ページ: e0128417
10.1371/journal.pone.0128417
Journal of Applied Phycology
巻: 27 ページ: 2191-2202
10.1007/s10811-014-0484-2
巻: 10 ページ: e0144430
10.1371/journal.pone.0144430