今後の研究の推進方策 |
今年度実施したMRI実験を次年度も継続して行い、実験参加者を50名程度にする。その後、遺伝子多型解析と唾液中ホルモン分析を行い、positive empathyの神経回路(内側前頭前皮質)との関連を明らかにする。
先行研究においてオキシトシン受容体遺伝子多型(OXTR)は共感性と関連し、rs53567 GG遺伝子型の個人は、AA/AG型の個人と比べて他者の心の状態を認知する能力が高いことが示されている(Rodrigues et al., PNAS, 2009)。このことから、rs53567 オキシトシン遺伝子多型は、positive empathyの神経回路を調整する可能性がある。さらに、先行研究においてカンナビノイド受容体遺伝子多型(CNR1)は他者の笑顔に対する感受性に関連しており、rs806377 CC遺伝子型の個人は、他者の笑顔を見ることで脳内報酬系である線条体が強く活性化することが示されている(Chakrabarti et al., European Journal of Neuroscience, 2006)。このことから、rs806377カンナビノイド遺伝子多型も、positive empathyの神経回路を調整する可能性がある。OXTRやCNR1におけるこれらの可能性について検証する。
続いて、安静時唾液中性ホルモン・カンナビノイド・オキシトシン濃度と内側前頭前皮質活動との関連を見る。唾液中女性ホルモン・カンナビノイド・オキシトシン濃度と内側前頭前皮質活動との間には正の相関が、唾液中男性ホルモン濃度と内側前頭前皮質活動との間には負の相関があることが予想される。
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