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2014 年度 実績報告書

コモンマーモセットの示す向社会行動の遺伝―環境-脳内神経ネットワーク機能関連

公募研究

研究領域共感性の進化・神経基盤
研究課題/領域番号 26118517
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

横山 ちひろ  独立行政法人理化学研究所, ライフサイエンス技術基盤研究センター, 副チームリーダー (90264754)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード非ヒト霊長類 / 養育環境 / オピオイドμ受容体 / 遺伝子多型 / PET
研究実績の概要

本研究では、向社会行動(利他行動)の生後発達の神経機構を明らかにするために、非ヒト霊長類であるコモンマーモセットを用いて脳内ペプチドおよびモノアミン神経伝達に関連する遺伝子検索および脳機能イメージングを行う。平成26年度は、以下の項目で実験を実施した。
1.向社会行動の定量的評価
これまで、コモンマーモセットの向社会行動の一指標として、二分室に分かれたボックス内におけるトレー引きによる報酬課題を行ってきた。このテスト法は検査者が立ち会うことが必須であったが、幼少時の養育環境(人工補育/親哺育)や6月齢以降の社会的環境(集団飼育/個別飼育)を操作した個体を調査するにあたり、検査者が飼育者でもある場合、検査者によって行動が影響されることが判明した。そのため、完全自動化した課題装置の開発に取り組んだ。新しい課題装置は、レバー入力すると報酬皿がモーターによって近づくようプログラム制御されている。また、課題ボックスへのスムーズな個体の移動のため、移動ボックスと課題ボックスを同一にしてボックストレーニングを開始した。ボックストレーニングおよび実験室への馴化までに、養育環境の違いは認められていない。
2.遺伝子型解析
体毛から得られるDNAサンプルを採取し、脳内ペプチドおよびモノアミン神経伝達に関連する遺伝子多型について調査した。その結果、オピオイドμ受容体エキソン領域にアミノ酸置換を伴う一塩基多型の存在が明らかとなり、多型頻度のばらつきもみられた。一塩基多型と行動指標との関連については、現在まで親として仔をcarryingしている期間を養育態度の一指標としてその関連性を調査したが、明らかな関連性は認められなかった。今後、性格判定や向社会行動指標を用いて、関連性を探るほか、オピオイドμ受容体特異的PETトレーサーを用いたPETさらにfMRIイメージングを行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

向社会行動評価にあたって、遺伝・環境―脳機能―行動関連を系統的に調査するには行動課題の完全自動化が必須である。行動課題装置を新規開発したことにより、現在当該装置によってテストを開始できる段階にある。また、環境要因の異なるコモンマーモセットを作出し、オピオイドμ受容体の遺伝子多型を見出したことで、行動指標との関連性を調査する基盤を整えることができた。

今後の研究の推進方策

環境要因の異なるコモンマーモセットは、新規開発した課題装置を用いた行動評価と同時に遺伝子多型検索およびPETイメージングを行い、同一個体における複数のモダリティーデータからその関連性解析を進める。また、行動評価中の自律神経系指標としてオンライン血圧測定を行う。コモンマーモセットの機能的神経ネットワークの同定には、fMRI撮像のため詳細な条件検討を進める必要があるため、これは行動評価、遺伝子検索およびPET解析と並行して推進していく予定である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Positron emission tomography imaging of the social brain of common marmosets.2015

    • 著者名/発表者名
      Yokoyama C, Onoe H.
    • 雑誌名

      Neuroscience Research

      巻: 93 ページ: 82-90

    • DOI

      10.1016/j.neures.2014.12.006.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A voxel-based analysis of brain activity in high-order trigeminal pathway in the rat induced by cortical spreading depression.2015

    • 著者名/発表者名
      Cui Y, Toyoda H, Sako T, Onoe K, Hayashinaka E, Wada Y, Yokoyama C, Onoe H, Kataoka Y, Watanabe Y.
    • 雑誌名

      NeuroImage

      巻: 108 ページ: 17-22

    • DOI

      10.1016/j.neuroimage.2014.12.047.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 動物モデルとしてのマーモセットの展望2014

    • 著者名/発表者名
      横山ちひろ
    • 雑誌名

      Clinical Neuroscience

      巻: 32 ページ: 952-953

  • [雑誌論文] Whole-brain imaging with single-cell resolution using chemical cocktails and computational analysis.2014

    • 著者名/発表者名
      Susaki EA, Tainaka K, Perrin D, Kishino F, Tawara T, Watanabe TM, Yokoyama C, Onoe H, Eguchi M, Yamaguchi S, Abe T, Kiyonari H, Shimizu Y, Miyawaki A, Yokota H, Ueda HR.
    • 雑誌名

      Cell

      巻: 157 ページ: 726-739

    • DOI

      10.1016/j.cell.2014.03.042.

    • 査読あり
  • [学会発表] Molecular imaging of the marmoset brain by positron emission tomography (PET).2014

    • 著者名/発表者名
      Chihiro YOKOYAMA
    • 学会等名
      Neuroscience 2014
    • 発表場所
      Washington DC, USA
    • 年月日
      2014-11-19
  • [学会発表] 社会環境要因による社会行動および脳内セロトニン神経伝達への影響:発達期コモンマーモセットを用いたPET研究2014

    • 著者名/発表者名
      横山ちひろ, 川崎章弘, 武田千穂, 尾上浩隆
    • 学会等名
      第4回社会神経科学研究会
    • 発表場所
      自然科学研究機構岡崎コンファレンスセンター、愛知
    • 年月日
      2014-11-18
  • [学会発表] コモンマーモセットの示す向社会行動と脳内セロトニン神経伝達との関連性2014

    • 著者名/発表者名
      横山ちひろ, 川崎章弘, 武田千穂, 尾上浩隆.
    • 学会等名
      日本人間行動進化学会 第7回大会
    • 発表場所
      神戸大学鶴甲第1キャンパス、兵庫
    • 年月日
      2014-10-30
  • [学会発表] 5-HT1A receptor mapping in the marmoset brain: PET study with an agonist radiotracer 18F-F13714 under conscious and isoflurane anesthetic conditions.2014

    • 著者名/発表者名
      Chihiro YOKOYAMA, Akihiro KAWASAKI, Aya MAWATARI, Hisashi DOI, Luc Zimmer, Hirotaka ONOE
    • 学会等名
      27th Annual EANM Congress
    • 発表場所
      Gothenburg, Sweden
    • 年月日
      2014-10-21
  • [学会発表] 早期養育環境が社会行動へ及ぼす影響と脳内セロトニン神経伝達との関連性:コモンマーモセットを用いたPET研究2014

    • 著者名/発表者名
      横山ちひろ, 川崎章弘, 武田千穂, 尾上浩隆
    • 学会等名
      第37回日本神経科学大会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜、神奈川
    • 年月日
      2014-09-13

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公開日: 2016-06-01  

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