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2014 年度 実績報告書

コホート研究におけるDNAメチル化のバイオマーカーとしての有用性の検討

公募研究

研究領域精神機能の自己制御理解にもとづく思春期の人間形成支援学
研究課題/領域番号 26118705
研究機関東京大学

研究代表者

文東 美紀  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00597221)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワードDNAメチル化 / コホート研究 / 思春期
研究実績の概要

本新領域研究で開始されているTokyo Teen Cohortでは、2年間で200-300サンプルの唾液サンプルを収集予定である。パイロシーケンシングという手法を用いてこれらのサンプルのDNAメチル化解析を行う予定であるが、多検体で複数箇所のDNAメチル化解析を行うことは時間やコストの面で制限の多い手法である。そのため並行して次世代シーケンサーを使用したDNAメチル化解析系の構築を検討している。パイロシーケンシングでは一度に解析できるDNA長は30塩基対(CpG部位としては3ヶ所程度)ほどであるが、次世代シーケンサーでは一度のランで500塩基対ほどの領域を複数箇所解析できると期待される。今回試験的に11番染色体長腕の470 塩基長(41ケ所のCpG部位を含む)におけるDNAメチル化解析を行った。人工的にメチル化、非メチル化したDNA検体を混合して使用した予備的解析では相関係数0.88-0.98と、十分な定量性を確認できた。さらに末梢血DNAを34サンプル使用して解析を行ったところ、41か所のCpG全てにおいて0.1%の解像度で全サンプルのDNAメチル化率を決定することができた。これらのことから、次世代シークエンサーを用いたDNAメチル化解析法はコホートサンプルの解析において有用であり、パイロシークエンシング法と併用しての解析が行われることが期待される。
また、双極性障害患者および健常者の末梢血DNA各500サンプルを使用して、セロトニントランスポーター(SLC6A4)遺伝子の上流領域のDNAメチル化解析をパイロシークエンシング法で行った。その結果患者―健常者間で有意差が認められたことから、解析を行った領域は環境要因の影響を反映しやすい領域であることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

多検体解析に必要となる、ハイスループットなDNAメチル化解析の系を構築することができている。また精神疾患患者由来の多検体の末梢血DNAサンプルを使用して、解析の候補領域の予備解析を行った結果、有意なDNAメチル化率差異を見出しており、今後のコホートサンプル解析における有用性を示している

今後の研究の推進方策

今後は回収されたコホート唾液サンプルからのDNA抽出を順次進めていく。さらに回収したDNAのバイサルファイト変換、候補領域のPCR、パイロシーケンサーと次世代シーケンサーを併用したDNAメチル化率定量を進め、コホート研究で得られたホルモン測定結果およびアンケート項目との関連を検討する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 精神疾患とエピジェネティクス2014

    • 著者名/発表者名
      菅原裕子、文東美紀、石郷岡純、加藤忠史、岩本和也
    • 雑誌名

      生体の科学

      巻: 65 ページ: 595-600

  • [学会発表] DNA methylation analysis of SLC6A4 using peripheral blood samples of patients with bipolar disorder.2014

    • 著者名/発表者名
      Ikegame T, Bundo M, Murata Y, Sugawara H, Saida H, Sunaga F, Ishigooka J, Sasaki T, Kondo K, Ikeda M, Iwata N, Kato T, Kasai K, Iwamoto K.
    • 学会等名
      22nd World Congress of Psychiatric Genetics
    • 発表場所
      Copenhagen, Denmark
    • 年月日
      2014-10-12 – 2014-10-16
  • [学会発表] 双極性障害のエピジェネティクス~セロトニントランスポーターにおける候補遺伝子解析2014

    • 著者名/発表者名
      岩本和也、文東美紀、池亀天平、菅原裕子、石郷岡純、笠井清登、加藤忠史
    • 学会等名
      第36回日本生物学的精神医学会・第57回日本神経化学会大会
    • 発表場所
      奈良県文化会館・奈良
    • 年月日
      2014-09-29 – 2014-10-01
    • 招待講演
  • [学会発表] 双極性障害患者末梢血を用いたセロトニントランスポータープロモーター領域における大規模DNAメチル化解析2014

    • 著者名/発表者名
      池亀天平、文東美紀、村田唯、菅原裕子、近藤健治、池田匡志、岩田仲生、加藤忠史、笠井清登、岩本和也
    • 学会等名
      第36回日本生物学的精神医学会・第57回日本神経化学会大会
    • 発表場所
      奈良県文化会館・奈良
    • 年月日
      2014-09-29 – 2014-10-01
  • [学会発表] 双極性障害患者末梢血を用いたSLC6A4遺伝子プロモーターにおける大規模メチル化解析2014

    • 著者名/発表者名
      池亀天平、文東美紀、須永史子、菅原裕子、石郷岡純、加藤忠史、笠井清登、岩本和也
    • 学会等名
      第8回日本エピジェネティクス研究会年会
    • 発表場所
      伊藤国際学術研究センター・東京
    • 年月日
      2014-05-25 – 2014-05-27
  • [図書] エピジェネティクスの産業応用2014

    • 著者名/発表者名
      池亀天平、文東美紀、笠井清登、岩本和也
    • 総ページ数
      393
    • 出版者
      シーエムシー出版
  • [備考] 東京大学大学院医学系研究科 分子精神医学講座

    • URL

      http://www.molpsy.com/index.html

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公開日: 2016-06-01  

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