研究実績の概要 |
平成26年度は,研究項目1, 2, 3について研究を進めた. 1)高齢者の会話における発言の時制解析と可視化:高齢者同士で行われた,実際の会話における発言について,過去,現在,未来のどの時刻を含むかを,文法やキーワード,意味から分析した.分析は,領域内の言語学,哲学の研究者の助言と指導を得て,時間と言語の関係に関する関連研究に基づいて行った.発言に過去,現在,未来が含まれる割合と推移を可視化することができた. 2)共通の体験に関する会話における発言の分類:共通の体験をした上で,その体験を話題として会話するワークショップを開催し,発言に含まれる,共通の体験に関する記憶,過去の体験に関する記憶,体験と関係のない知識の割合を分析した.条件を揃えることで,会話の場において,当日の体験記憶を想起し,発言するという,目的とする活動を行っているかどうかを確かめることができた. 3)発言から体験と知識,時制の判別手法の開発:項目1), 2)の分析結果を学習データとして,新たな会話データに対し,発言に含まれる時制や,体験もしくは知識に関することかを判別する手法を開発した.精度には改良の余地があるものの,会話におけるこころの時間を推定することができるようになった.
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