研究領域 | こころの時間学 ―現在・過去・未来の起源を求めて― |
研究課題/領域番号 |
26119511
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
山崎 匡 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (40392162)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 時間 / タイミング / 学習 / 小脳 / 大脳基底核 |
研究実績の概要 |
今年度は、申請者らがこれまで研究してきた、細胞集団活動の時間遷移によって時間経過を表現する抑制性再帰ネットワークにおいて、どのようにすれば表現可能な時間間隔を長く出来るかを検討した。時間的に定常な入力信号に対して、時間的に非定常な神経細胞の活動パターンを作り出すことが、抑制性再帰ネットワークでは可能になる。個々の神経細胞はそれぞれ独自の時間パターンで活動するが、細胞集団で見た場合、活動する細胞集団は時間経過と共に徐々に変化する。これを利用して、信号入力からの時間経過を表現することが可能になるが、入力にノイズが載っている場合は、長時間の時間経過を安定して表現することは難しかった。それを改善する手法を特に研究した。その結果、ネットワーク内の抑制性結合の強度を調整することでネットワークの出力を漸増させることができ、かつその出力を改めて入力信号としてフィードバックすることで、最大5倍の長さの時間間隔を表現することができることを計算機シミュレーションによって明らかにした。また、単純なパーセプトロン学習を組み合わせることで、教師信号として与えたタイミングの情報を用いて、そのタイミングに向けて漸増していくような出力細胞の神経活動を生成することに成功した。このように、時間認知におけるフィードバックの役割を指摘した。さらに、このようなフィードバック構造が、大脳基底核における1秒以上の時間経過表現に本質的に関与していることを指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
論文を既に投稿していたかったのだが、執筆が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
論文執筆を進めると共に、大脳基底核のGPi-STNネットワークに我々のモデルを適用し、大脳基底核における1秒以上の時間経過表現と、小脳における1秒未満の精緻なタイミング制御を組み合わせたモデルを構築する。
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