公募研究
現在の事象から解放され、こころの中に過去や未来を描く私たちの日常的な働きは、進化史の中でいつどのようにして発生したのか。本課題の目的は、多様な動物たちの「過去と未来を想うこころ」を、さまざまな手法を用いて分析し、体系的な系統発生研究を推進することである。平成27年度には、26年度に引き続き、1)「過去を想うこころ」、2)「未来を想うこころ」の2つの課題に関する行動的研究をおこなった。1)に関しては、偶発的記憶のテストとして、特段に記憶することを要求されない単回生起事象の記憶の自発的想起の可能性を、ネコ、デグー、ハムスター、ウマを対象に実施した。複数の採食場所のうち特定の箇所のみで採食が許されたただ一度の経験を、長い遅延時間経過後の突然の再訪問時に思い出して利用できるかの検討である。現在までのところ、やや明瞭度に種差は見られるものの、デグー以外の種に関しては、イヌですでに得られている結果と同様の行動傾向が見られた。すなわち、これらの動物は、初回の訪問時に食物の存在を確認しただけで食べなかった場所に最初に向かった。これらのことから、偶発的記憶を積極的に利用する能力は、考えられている以上に多くの動物に分有されており、進化的には古い起源を持つことが示唆される。2)に関しては、ハトを対象に、展望的記憶の利用可能性を検討した。背景課題となっている条件性弁別課題を定められた回数だけ完了すると、刺激画面はほぼ同じだが異なる課題(展望的記憶課題)を実施することが求められた。ヒトでは、展望的記憶課題を実行中、その実行時期が近づくにつれて背景課題の遂行成績が低下する。実験の結果、少数のハトではそのような結果が得られたが、大多数の個体では効果はなかった。課題を工夫してさらに検討する必要がある。またこれ以外に未来志向的な準備行動が可能かどうかの予備的検討を霊長類で開始した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (16件) (うち査読あり 14件、 謝辞記載あり 13件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件) 図書 (2件)
Animal Cognition
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動物心理学研究
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