研究領域 | こころの時間学 ―現在・過去・未来の起源を求めて― |
研究課題/領域番号 |
26119532
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
阿部 十也 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (60588515)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | エピソード記憶 / 文脈 |
研究実績の概要 |
ヒトは、絶対時間に従って過去を思い出すわけではない。思い出す時の状況に依存してその過去の出来事を遠くに近くに感じたりすることを経験したことがあるであろう。申請者は、①思い出す時、過去と同じ状況、異なる状況に置かれた時に過去の遠近感が変化し、②過去が時間をかけて記憶として定着する過程で、その遠近感が変化するとの仮説を立て、若年健常人を対象に行動実験を行った。 行動実験の作成を行い、実験で、遠い過去の遠隔感と近い過去の近接感の両方が、文脈によって別々に影響を受けることを示した。さらにこれらの影響が、時間(hour)、日(day)のスケールで変化することを示した。 この結果は当該新学術の領域会議で発表し、改善すべき点など有益なフィードバックを得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
仮説検証のための行動課題を作成し、過去の遠近感が思い出す時の状況に依存して変化することを立証した。今後この行動課題を用いて予定通り次の検証に進むことが可能になった。
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今後の研究の推進方策 |
過去エピソードの遠近感が、過去と同じ状況、異なる状況に置かれた時に変化することを行動学的に示した。過去が記憶として脳の中で定着する過程は数時間から数日を要する。その過程の中で、遠近感に対する効果が変化することを行動学的に示す。睡眠が記憶の固定化に関わることから、その過程で遠近感が変化するかを明らかにする。その成果を土台にどの脳部位がその効果に関与するのか同定する。以上の目的を行動課題、MRI脳機能画像法(fMRI)、表面脳波法(EEG)を用いて明らかにする。
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