本課題は、脳情報デコーディング技術を利用して、過去および未来についての想起中の脳活動と現在の知覚や想像に関連する脳活動を比較し、時相間での脳情報表現の共通性と差異を明らかにすとともに、課題とは関係なく自動的に生じる思考(「マインドワンダリング」)に含まれる過去や未来に関する想起内容が、どのような脳活動パターンで表現されているかを明らかにすることを目指すものである。前年度までに、課題誘発性の脳活動を取得する実験とマインドワンダリングの行動実験を実施した。この成果を踏まえ今年度は、マインドワンダリング課題中の脳活動をfMRIで計測する実験と想起課題データを学習データとして利用するデコーディング解析を進めた。マインドワンダリング課題の最適化を行いながら予備実験を実施し、質問内容やコンテンツの分類法を決定した。また、予備解析の結果から、時制(過去vs未来)と現在からの距離(数週間vs数ヶ月)が異なる脳の部位に表現されていることが示唆された。 本課題は、今年度採択された他課題との重複制限のため6月で廃止申請を行った。プロジェクトを完結するに至らなかったが、他課題の一環として今後も継続して研究を進める予定である。
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