研究領域 | 動的・多要素な生体分子ネットワークを理解するための合成生物学の基盤構築 |
研究課題/領域番号 |
26119707
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中野 秀雄 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (00237348)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 酵素 / 無細胞タンパク質合成系 / ナノストラクチャー / ハイスループットスクリーニング / エマルジョン |
研究実績の概要 |
本研究では、転写および酵素反応を定量的に解析、スクリーニングする新規な実験系を確立することを目的とし ている。それにより従来にない膨大なライプラリーの作製と短時間でのスクリーニングを可能とし、合成生物学 における重要な分子パーツである、DNA ポリメラーゼープロモーターの新規セットを探索し、有用酵素創出の基 盤技術をつくり上げることを目的としている。以下に今年度の成果を列挙する。 1 ) Dアミノ酸オキシダーゼのEnzyme-TRAIN構築:酵母由来Dアミノ酸オキシダーゼ(OAO) を対象として、本システムへ適合させることを試みた。まず本酵素の無細胞タンパク質合成系を確立し、さらに大腸菌内でDNA結合タンパク質との融合タンパク質として合成することに成功した。さらにscCroと結合するDNA配列が異なる変異体の構築にも成功した。2) TGaeのEnzyme-TRAIN構築:TGas e をDNA結合タンパク質 との融合タンパク質として無細胞タンパク質合成系で発現させ、活性体として発現させることに成功した。現在それらをビーズ上に提示し、その活性をフローサイトメーターにより検出できるシステムを開発中である。3) T7RNAポリメラーゼのEnzyme-TRAINの構築 :無細胞転写反応をDNA上に固定したT7RNAポリメラーゼにより行う反応系のDNAを合成し、現在実験条件を検索中である。4) 特定のDNA配列に強く結合するDNA結合タンパク質を2種類構築し、それらの各DNA配列に対する結合定数を測定した。5)HRPの無細胞タンパク質合成系により活性体として発現に成功し、それをマイクロビーズ上に提示させ、酵素活性を指標としたセルソーターを用いたハイスループットスクリーニング方法を確立した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、DAOおよびTGaseについてDNA結合タンパク質との融合タンパク質の形で、活性体として無細胞及び生細胞中で発現を確認している。またそれらのビーズ上へのDNA配列を介した提示にも成功している。
|
今後の研究の推進方策 |
DAO、HRPおよびTGaseをDNA上に配置し、分子間の距離を制御した酵素反応を行わせるシステムを構築し、新規酵素創成システムとして有効であることを示す。また植物由来ファージタイプRNAポリメラーゼおよびT7RNAポリメラーゼ変異体を用いて、新規プロモーターをスクリーニングする。
|