本研究課題は,スパースモデリングの深化と高次元データ駆動科学の創成の一環として,地震発生データを代表とする「マーク付き点過程」と呼ばれる特殊な時系列データに着目し,データ同士の本質的な構造を反映した距離尺度をデータ駆動で学習する手法の開発と,開発手法によるデータ解析を通した知識発見を目的とするものである.マーク付き点過程に適切な距離尺度を定義する問題に対し,比較的容易に計算が可能な単純な距離尺度を複数準備して,これらの距離尺度に従い計算した複数の距離行列から情報を取捨選択して最適な距離尺度を設計するアプローチをとっている.研究期間において,神経科学において多数提案されている単純点過程のための距離尺度の整理とマーク付き点過程への拡張を行ない,種々の距離を計算するソフトウェアパッケージを開発して一般に公開し,関連して原著論文を執筆した.また,複数の距離の組合せ手法を開発し,国際会議にて発表した.また,スパースモデリングの研究として,異なる統計モデルに基づく判別分析を統合するスパース線形判別分析手法を開発し,国際会議及び論文誌にて発表した.また,スパースモデリングの実問題への応用として,位置情報プライバシにおける非匿名化攻撃がスパーステンソル分解によって高精度に実現出来ることを示した.関連して,国際会議にて研究発表を行った.さらに,スパースモデリングに基づく信号の超解像技術を開発し,特に医用画像において従来法を上回る結果を得た.
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