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2014 年度 実績報告書

疎性を用いた多階層ネットワークの同定

公募研究

研究領域スパースモデリングの深化と高次元データ駆動科学の創成
研究課題/領域番号 26120507
研究機関九州大学

研究代表者

宇田 新介  九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (20599609)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワードトランスオミクス / スパース性 / 分子ネットワーク
研究実績の概要

KEGGなどのデータベースを使った方法によって,代謝,代謝酵素,リン酸化タンパク質を各オミクスデータによってつなぐ方法では一定の成果を収めることができた.一方,データベースによってつなぐ方法では,当然データベースが手薄なところに関してはうまくいかず,データ駆動型の推論などを用いることが必要になる.
今年度は,オミクスデータに対してスパースな偏相関行列を求めることで,代謝,代謝酵素,リン酸化タンパク質のネットワークを推定することを試みた.オミクスデータは,Fao細胞に複数のインスリン濃度の刺激を与えて得られている.試験的に生物学的に意味のあるネットワークをいくつか切り出して,オミクスデータからスパースな偏相関行列を推定したところ,半分ぐらいのネットワークについては既存の生物学的知見と合致する結果が得られた.しかし,オミクスデータはサンプリングコストが低くないため標本サイズは小さく,観測ノイズは小さくないため,ネットワークの推定には厳しい条件になりがちである.一方で,データベースなどには生物学的な知見が蓄積されており,知見があるところは使う方がよい結果が得られる可能性もある.よって,スパースな偏相関行列を推定において生物学的知見を取り込む方法を開発し,試験的に適用した.結果として,データベースの知見がないときよりも,推定結果は改善した.また,数値実験から,データベースにある程度誤りがあっても,開発した方法によって推定結果の改善が見込めることがわかった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

試験的な部分ネットワークへの適用ではあるが,実データからネットワークを推定し,生物学的知見とある程度合致する結果が得られている.
しかし,越えるべき課題がまだ多いのも実状である.まず,推定するネットワークサイズが大きくなった場合,データ量が十分でないことから推定がうまくいかないことが予想される.また,データ自体に欠損が多く,現在はadhocな前処理を行っているが,将来的には論理的な構成に根ざした方法を行う必要が高くなる.アロステリック効果などまだモデルに取り込めていない要素もある.

今後の研究の推進方策

オミクスデータを全て使い,代謝,代謝酵素,リン酸化タンパク質のネットワーク全体を推定することを試みる.
スパースな偏相関行列を求める方法では,陽にデータの時間構造を取り込めていなかったが,状態空間モデルとスパース性などを用いることにより,時間構造を考慮したネットワークの推定方法の開発も検討する.
生命現象は複数の時間スケールで進行していくことが多い.時間スケールが比較的近い場合のデータには,時間構造のあるモデルを使い,シグナル伝達から遺伝子発現,表現形までなど異なる時間スケールにまたがる現象には,時間構造が陽に入っていないモデルを使うのがよいと考えている.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Reconstruction of insulin signal flow from phosphoproteome and metabolome data2014

    • 著者名/発表者名
      K. Yugi, H. Kubota, Y Toyoshima, R. Noguchi, K. Kawata, Y. Komori, S. Uda, K. Kunida, Y. Tomizawa, Y. Funato, H. Miki, M. Matsumoto, K. I. Nakayama, K. Kashikura, K. Endo, K. Ikeda, T. Soga and S. Kuroda
    • 雑誌名

      Cell Reports

      巻: 8 ページ: 1171-1183

    • DOI

      10.1016/j.celrep.2014.07.021

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 疎性を用いた多階層ネットワークの同定2014

    • 著者名/発表者名
      宇田新介
    • 学会等名
      新学術領域研究「スパースモデリングの深化と高次元データ駆動科学の創成」2014年度公開シンポジウム
    • 発表場所
      東京工業大学 すずかけ台キャンパス
    • 年月日
      2014-12-16
  • [学会発表] インスリン時間パターン依存的な遺伝子発現の選択的応答2014

    • 著者名/発表者名
      佐野貴規,川田健太郎,角田裕晶,久保田浩行,宇田新介,柚木克之,藤井雅史,国田勝行,星野太佑,鈴木穣,黒田真也
    • 学会等名
      第37回分子生物学会年会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2014-11-26
  • [学会発表] ヒトにおける糖代謝メカニズムのシステム生物学的解析2014

    • 著者名/発表者名
      住友洋平,唐沢康暉,宇田新介,大橋郁,平山明由,曽我朋義,黒田真也
    • 学会等名
      第37回分子生物学会年会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2014-11-25

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公開日: 2016-06-01  

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