公募研究
本研究は,スパースモデリングを用いて、NIRS(近赤外分光法)による脳活動計測データと、および医療現場で既に活用されている質問紙検査等の心理指標とを統合し、自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder: ASD)の理解を進めることを目的とした.H26年度は,課題1として,発達障害児を対象としたNIRS計測を行い、さらにその血流データからASD群と、他の発達障害である注意欠陥多動性障害(ADHD)群を鑑別する試みを行った.この成果をFrontiers in Human Neuroscience誌に発表した.論文掲載に伴い,プレスリリース(「怒り顔に対するADHD児の脳活動の特徴 -近赤外分光法(NIRS)による脳活動計測で、世界で初めて明らかに-」)を行い,国内の医療従事者向け専門サイトほか,国外の研究者向けポータルサイトScience Dailyをはじめとした国外の34ウェブサイト(2014年9月30日現在)に研究成果が紹介された.この成果は,NIRSを脳活動計測に用いている研究者が多く集まる国際会議fNIRSにおいて公表した.課題2において,生理指標から心理指標を回帰する際,当初の想定に反し,データ内に複数のクラスタ構造があることがわかった.したがって生理指標計測をふくめた課題3と並行して進めるよう研究計画を一部変更した.領域推進においては,他の計画研究および公募班との研究打ち合わせを1ヶ月から2ヶ月に1回程度行い,領域内連携を開始した.領域外に向けては,当該領域が主催した2014年度公開シンポジウムにても講演を行い,領域活動の推進に貢献した.
2: おおむね順調に進展している
課題1は予想以上に順調に進展した.続いて課題2を開始したが,生理指標から心理指標を回帰する際,当初の想定に反し,データ内に複数のクラスタ構造があることがわかった.クラスタに含まれるデータ点の個数に大きな偏りがあり,通常のクラスタ分析ではデータの性質を適切に記述することが困難であった.そこで,課題2の結果を基に,当初は課題3で想定していた,複数の変数を同時に扱うスパースモデリングによってクラスタを記述するよう,研究計画を一部変更した.H26年度の進捗は,課題2を予定通り遂行した後,課題3を開始したため,概ね順調に進展していると言える.
H27年度は,課題3を引き続き行うとともに,課題3で得られた解析手法を用いて課題2のデータを再評価する.合わせて,得られた研究成果を学会発表を含めて広く公表していく.
すべて 2014 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
Frontiers in Human Neuroscience
巻: 8:480 ページ: 1-10
10.3389/fnhum.2014.00480
Neuropsychologia
巻: 63 ページ: 51-58
10.1016/j.neuropsychologia.2014.08.010
http://www.chuo-u.ac.jp/aboutus/communication/press/2014/09/22986/