研究領域 | スパースモデリングの深化と高次元データ駆動科学の創成 |
研究課題/領域番号 |
26120531
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研究機関 | 明治国際医療大学 |
研究代表者 |
梅田 雅宏 明治国際医療大学, 医学教育研究センター, 教授 (60223608)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | MRS / GABA / fMRI |
研究実績の概要 |
画像を中心に技術が進歩しているMRI装置では、パルスシーケンスの工夫で脳内のアミノ酸などの比較的低分子の代謝物が観測できることが報告されている。主に計測できるアミノ酸としてはN-アセチルアスパラギン酸、クレアチン、コリン化合物などのメチル基(N-CH3)があり、その他に比較的エコー時間の短いシーケンスを用いる事で興奮性アミノ酸のグルタミン酸やグルタミン、糖の一つであるmyo-イノシトールなどの代謝物が観測される。これらの代謝物は変性疾患や腫瘍などで大きく変動することが報告されているが、一般の神経活動と関連した脳内代謝物の変動に関する報告は少ない。近年、心理学領域における脳機能画像の研究が進み、神経活動の抑制の個人差などの研究も進められている。われわれは両眼に異なる画像を呈示し、優先的に認知される画像の切り替わり(視野闘争)における脳活動抑制の特性と、そうした活動を司る視覚野領域における抑制系アミノ酸であるγアミノ酪酸(GABA)の脳内濃度と関連に着目した。
脳内GABA濃度は1mM程度であり存在量が少ない。また、ヒトの脳から観測されたGABAのMRスペクトルには、試薬のGABA水溶液で観測されるスペクトルで見られる分裂パターンが認められないことが多い。一般にスペクトルで分裂パターンが認められない場合は、磁場の不均一によって全てのピークが幅広になることが原因として挙げられる。また、3.0ppmには高分子の信号が重なっていることが報告されていたが、我々はその他に消え残りのクレアチンのピークの重なりも分裂パターン消失の原因の一つであることを突き止めた。また、このクレアチンピークはMRのパラメータである繰り返し時間(TR)を延長することで抑制できることが分かった。さらに照射RFの帯域を狭くし、照射位置を1.45ppmと1.95ppmとしてスペクトルを差し引くことで1.7ppm付近ある高分子のピークと結合している3.0ppmの信号を抑制することが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
さらにプログラムの開発が必要であるが、その他の部分については順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
クレアチンのピークおよび高分子由来の信号抑制をより安定化させることで、さらにGABAに対する感度の高い信号が得られるような改良が必要である。その上でピーク波形の分離を行うことにより、正確な脳内GABA濃度が計測できると考えられる。また、両眼視野闘争のfMRIの結果を元に抑制の程度をグループ分けし、当該領域のGABA濃度との関連を調べていく計画である。
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