研究領域 | 予測と意思決定の脳内計算機構の解明による人間理解と応用 |
研究課題/領域番号 |
26120702
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
金田 勝幸 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (30421366)
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研究期間 (年度) |
2014-06-27 – 2016-03-31
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キーワード | ストレス / 薬物依存 / コカイン / 背外側被蓋核 / 腹側被蓋野 / ドパミン / ノルアドレナリン |
研究実績の概要 |
ストレスは我々ヒトを含む動物の行動に影響を与えるが、その脳内メカニズムには不明な点が多い。本研究では、薬物依存研究で汎用される条件付け場所嗜好性試験(CPPテスト)に拘束ストレス負荷を組み合わせることで、動物(ラット)の薬物欲求行動にどのような影響を与えるのか、さらに、その脳内メカニズムがどのようなものかを明らかにすることを目的としている。 CPPテストのポストテストの直前に30分間の拘束ストレスを負荷すると、薬物欲求行動の指標であるCPPスコアは、非負荷群に比較して有意に増大することが分かった。このようなCPPスコアの増大は生理食塩水で条件付けしたラット、あるいは、15分間のストレスを負荷したラットでは認められなかった。また、ストレス負荷直前の脳内局所薬物投与実験から、このCPPスコアの増大には青斑核から背外側被蓋核へのα2およびβ受容体を介したノルアドレナリン作動性神経伝達、および、背外側被蓋核から腹側被蓋野へのニコチン性およびムスカリン性アセチルコリン受容体を介したコリン作動性神経伝達が重要な役割を果たしていることを明らかにした。 以上の結果は、ストレス負荷により遊離の亢進したノルアドレナリンが背外側被蓋核コリン作動性ニューロンを活性化し、それによって腹側被蓋野で遊離されたアセチルコリンがドパミンニューロンを活性化することで、ストレスによる薬物欲求行動増大に至る可能性を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画で記載した内容に沿って研究を進め、ほぼ計画通りに進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
青斑核-背外側被蓋核-腹側被蓋野を介した情報が、さらにどこへ運ばれることによってストレスによる薬物欲求行動の増強に関与しているのかを、行動薬理学的手法を用いてさらに追究するとともに、それぞれの部位での神経伝達が、シナプス・細胞レベルでどのような影響を与えるのかをスライスを用いた電気生理学的手法によって明らかにしていく予定である。
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