研究領域 | 予測と意思決定の脳内計算機構の解明による人間理解と応用 |
研究課題/領域番号 |
26120721
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
成本 迅 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30347463)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 強迫性障害 / MRI / 計算論 / DTI / fMRI |
研究実績の概要 |
精神疾患の中でも、強迫スペクトラム障害に分類される疾患は、セロトニン神経系の異常を背景とした予測と意思決定の障害が病態の基盤にあると推測されている。本研究では、共通の神経基盤が想定されているが、異なる症状を呈する神経性大食症と抜毛症を対象に報酬課題遂行中の脳活動を機能的MRIを用いて測定し、データを数理モデルに基づいて解析することで、短期、及び長期の報酬予測に関連する脳領域を明らかにし、健常者との違い、及び疾患毎の違いを明らかにすることを目的とした。また、同時に安静時機能的MRI、構造画像、拡散テンソル画像を撮像して数理モデル解析により得られた結果と合わせて解析することで、多様な精神症状がどのように予測と意思決定の障害と関連するかを包括的に解明することを目的としている。 2014年度は、これまでに収集したデータのうちDiffusion Tensor Image (DTI)について解析した結果を論文として報告した。強迫性障害患者においては、健常者と比較して眼窩前頭皮質からの左線条体への投射線維の重心点が背側に偏移しているという結果であった。これは、強迫性障害において健常者と比較して衝動的な意思決定がなされる傾向にあることに関連している可能性があり、われわれが先行研究で報告した、眼窩前頭皮質と背側線条体の安静時fMRIで測定した機能的結合が強迫性障害患者で強まっているという結果とも一致するものである。 このような報告に加えて、連携研究者の田中を中心に計算論により強迫性障害の症状をモデル化する検討、及び連携研究者の梅田による心理課題を用いて強迫性障害患者において発達障害傾向を有する患者とそうでない患者を鑑別する手法を検討し、研究計画を立てた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究内容の一部について論文として発表することができ、また論文にまとめて投稿中である。また連携研究者との共同研究についても順調に計画が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
すでに収集した強迫性障害のデータについて、投稿中の論文の今年度中の受理を目指す。また、計算論を用いた強迫症状のモデル化について推進し、学会発表を目指す。
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