免疫細胞の分化と免疫応答は、全身に配置された多様なリンパ器官を主な場とし、これらの場が血液系細胞等を介した高次の機能的ネットワークを形成することではじめて成立するダイナミックな事象である。新学術領域研究「免疫四次元空間ダイナミクス」は、多様な背景の研究者が結集し、従来の免疫学研究では未解明であった場を含む免疫空間の四次元的な形成・連携・攪乱の機能解明と再構築をめざし研究を行った。その結果、造血幹細胞のニッチを構成する骨髄CAR細胞の発生に必要な転写因子Foxc1の同定、胸腺皮質上皮細胞特異的プロテアソームによるCD8陽性キラーT細胞の機能至適化の発見など、多くの重要知見を得た。また、班会議や技術講習会を通した班員連携による相乗的な研究進展、学術集会や若手研修会を通した学術領域の定着と次世代継承を図った。更に一般向け講演や報道を通して国民との対話に努めた。 平成29年度は、本研究班として、活動成果の取りまとめ作業を行った。具体的には、まず研究活動に主体的にあたった計画研究班員14名、公募研究班員29名、総括班専従班員6名、総勢49名からの活動成果を収集した。 そのうえで、学術知見の総括をはじめ、班員相互連携、次世代継承を含む学術の定着、国民との対話、中間評価による軌道修正、それぞれの観点に関する総括を取りまとめ、報告書として記録に留めるとともに、関連機関や研究者等に配布した。 また、班研究の遂行にあたって班員相互や関連研究者との情報交換と一般社会への情報公開に利用したウェブサイトに成果報告を掲載するとともに、ウェブサイトを保存し長期公開維持できるようにした。 以上のとおり、新学術領域研究「免疫四次元空間ダイナミクス」の班研究活動が、本邦の学術研究の更なる発展に資するよう、研究成果取りまとめを実施した。
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