細胞内のタンパク質はいきなり完成するわけではなく、mRNAの情報がポリペプチド鎖へと変換される過程で、すべて翻訳途上の新生ポリペプチド鎖(新生鎖)の状態を経過する。従来、新生鎖はポリペプチド合成反応の単なる過渡的な中間体にすぎないと理解されてきたが、最近、新生鎖が自分自身の機能化や品質管理も含めて、細胞全体の生命現象の制御と調節に関わることが明らかになってきた。すなわち、これまで受動的な反応中間体と考えられていた新生鎖そのものが、リボソームをプラットフォームとして、ときには独自の機能を獲得し、積極的にさまざまな生命現象に関与するのである。そこで本領域では、新生鎖を主役に据えた「新生鎖の生物学」を設定することで、新生鎖をハブとする遺伝情報発現と細胞機能制御のネットワーク解明および分子機構の理解を目指して研究を進めた。5年間の領域活動により大きな成果を得たので本取りまとめにて研究成果の総括を適切に実施した。 研究成果取りまとめとして以下の活動を行った。(1)成果報告書を作成する。本予算にて人件費を計上した事務員に報告書作成のサポートしてもらった。(2)領域成果の総括を行った。新しい学術領域を立ち上げて研究を推進した結果、複数の新たな分野が見えてきた。そこで、これらの分野の将来展望を世界的な研究情勢と照らし合わせて、今後の研究戦略に結びつけた。(3)研究成果の社会・国民への発信:研究成果は、領域ウェブサイト、ブログなどを通じて発信した。
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