Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
本研究は当初,リフレクションをモナド計算のメカニズムにより定式化しその意味論を与えるという方向で開始したが,研究を進める過程において,リフレクションを含む幅広い文脈における計算概念について,より明確な視点が必要であることを認識するようになった.そこでまずリフレクションの本質について徹底的な考察を行い,そこからカテゴリー理論的な定式化が有効に働く方向を見出すという方針を立てた.そのために計算概念に関心を持つ哲学者や認知科学の研究者との共同研究を組織し,哲学的考察を含む徹底した議論を行った.その成果として,Smithのリフレクションの定式化にヒントを得て計算における対象と現象の位置づけとそれを形式的に取り扱う際の新しい視点を見出すことができた.これについては科学基礎論学会において講演を行い,現在論文を投稿中である. さらにこの視点に基づいて,現実のコンピュータ,ユーザ,ネットワークなどを含む環境全体を計算システムと考えその中でリフレクティブな計算を捉えることによりカテゴリー理論的な手法が有効に働く場面を模索した結果,幾何学的対象についての計算の意味論という方向性を見出した.その最初の試みとして,メレオトポロジーを計算として取り扱うカルキュラスを構成しその意味論を与えた.メレオトポロジーとは部分と全体の一階の理論であるメレオロジーを,ユークリッド空間が満たすような位相構造について推論できるように拡張したものである.ここでは論理を構成的論理とし,証明をCurry-Howardの対応により計算と見なしてカルキュラスを構成した.そしてユークリッド空間の幾何学的対象からドメインを構成することが出来るというEdalatの結果を用いて自然な表示的意味論を与えた.これについては,科学哲学会,およびALGIワークショップにおいて講演を行い,現在論文を準備中である.
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