哺乳類成体脳内の細胞移動制御におけるSlit蛋白質の機能と作用機構
Project/Area Number |
15770143
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Developmental biology
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
澤本 和延 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90282350)
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Project Period (FY) |
2003 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | マウス / 脳 / 細胞移動 / 脳室下層 / 脳脊髄液 / Slit / 嗅球 / ニューロン / 神経幹細胞 / 脈絡叢 |
Research Abstract |
側脳室側壁の脳室下層は、成体脳における最大のニューロン新生領域である。この脳室下層において生まれるニューロブラストは、同種の細胞が違いに相互作用しながら"chain"と呼ばれる細長い細胞塊を形成し、5ミリにも及ぶ長距離を高速度で移動して嗅球へ達し、嗅覚に関与する神経回路を形成する。我々は、これまでに脳室下層における細胞移動の方向が脳室内を流れる脳脊髄液の方向と一致すること、さらには上衣細胞の繊毛の発達に異常を起こすミュータントマウスにおいては脳脊髄液の流れが異常になるとともに、細胞の移動方向にも異常があることを明らかにした。さらに、Slit2-アルカリ性フォスファターゼ融合蛋白質を脳室内に注入して脳室下層におけるその分布を解析し、正常脳においては脳室下層内に後ろ側から前側へ向かって濃度が低下するグラジエントを形成すること、そして繊毛異常のあるミュータントではこの勾配が正常に形成されないことを見いだした。今年度はSlit1/2二重変異マウスを用いて、これら遺伝子の機能についても明らかにする予定であったが、本マウス供与元のアメリカ合衆国Genentech社の動物飼育施設においてウイルスの感染事故があり、慶雁義塾大学におけるマウスの受入に大幅な遅れをきたしたため、実験は行わなかった。本研究の結果により、これまで不明であった成体マウスの脳における長距離の細胞移動のメカニズムの一端が明らかになった。
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Report
(2 results)
Research Products
(12 results)