長期記憶を実現する分子メカニズムの確率論的シミュレーションによる解明
Project/Area Number |
21700426
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Neurochemistry/Neuropharmacology
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Research Institution | Advanced Telecommunications Research Institute International |
Principal Investigator |
小笠原 英明 Advanced Telecommunications Research Institute International, 研究員 (50395133)
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Project Period (FY) |
2009 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2010: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | タンパク質リン酸化酵素Mζ / 記憶、学習 / 双安定性 / 長期増強 / シミュレーション |
Research Abstract |
神経細胞どうしは樹上突起のシナプスという構造を介して情報のやりとりをしている。シナプス伝達効率の可塑性と安定性が記憶・学習の基盤であると考えられている。タンパク質リン酸化酵素Mζ(PKMζ)がシナプス可塑性と長期記憶の保持に中心的な役割を果たしていることが近年明らかになりつつある。しかし、PKMζが代謝回転や確率的ノイズに撹乱されることなく長期に情報を維持する機構は不明である。研究代表者はこの疑問を解決するため、PKMζの双安定ポジティブフィードバックループが長期安定な記憶の基盤であるという仮説を立て、検証のためのシミュレーション研究を行った。まず、PKMζが自身のメッセンジャーリボ核酸(mRNA)局所翻訳を2つの経路で促進するループをモデル化した。次に分岐解析を行い、反応速度定数の現実的なパラメータ領域でPKMζのポジティブフィードバックループが双安定に振る舞うことを示した。タンパク合成阻害薬を投与して過去の記憶を想起させるとその記憶が失われることが動物実験により示されているが、シナプス可塑性・記憶に関するこのような様々な実験の結果をモデルがよく再現することも示した。さらに、このシミュレーションモデルを用いて予測を行い、PKMζの記憶・シナプス可塑性における役割を明らかにするための動物実験を提案した。研究成果を学会で発表するとともに、論文にまとめ専門誌に投稿した。この研究により記憶・学習の根源的な仕組みについての理解が深まることが期待される。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)