2023 Fiscal Year Comments on the Screening Results
尊厳学の確立:尊厳概念に基づく社会統合の学際的パラダイムの構築に向けて
Project Area (Abbreviation) | 尊厳学の確立 |
Project/Area Number |
23A103
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Area Organizer |
加藤 泰史 椙山女学園大学, 外国語学部, 教授 (90183780)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Summary of the Research Project |
「尊厳」概念はプラトンの「アクシア」をキケロが「dignitas」と翻訳した時からの概念史を持つ。しかも第二次世界大戦後に、この大戦のもたらした巨大なカタストロフィに対抗する理念として重要な意味を付与されるとともに、国際条約や国内憲法によって法益の対象ともなった。それ以降、さらにその社会的重要性は増しており、分断された社会を新たに統合できる規範的理念として国際的に注目されている。特にロボット・AIといった先端科学技術やゲノム編集・iPS細胞研究などの先端医療技術、さらにヘイトスピーチ対策・高齢者介護・「コロナ・トリアージ」・尊厳死などといった喫緊の課題に対して「尊厳」は規範的役割を担い得ると期待されている。本研究領域では、これらの問題を学術横断的に検討して「尊厳」を総合的に捉え直した上で、その研究成果を社会実装するために、「尊厳学」という学際的な学問分野の創生を目指す。
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Outline of Opinions Expressed in the Review Results |
尊厳という現代社会にとって重要な概念について、伝統的な分野を超えて人工知能やゲノム編集といった新しい領域までも念頭に置いて総合的に検討しようという極めて意欲的な研究領域である。ジェンダー学にならって尊厳学という分野を構築しようというのも意義深いが、一方で、それが見落とした視座についても批判的に検討することが求められる。各計画研究は相互に共通の問題認識を共有しており、総括班による研究の統合方法も明確である。本研究領域の取組により、欧米圏における研究成果を乗り越える成果が期待される。
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