2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Conquering cancer through neo-dimensional systems understanding |
Project/Area Number |
15H05907
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮野 悟 東京大学, 医科学研究所, 教授 (50128104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲澤 譲治 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (30193551)
高橋 隆 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (50231395)
武藤 香織 東京大学, 医科学研究所, 教授 (50345766)
小川 誠司 京都大学, 医学研究科, 教授 (60292900)
岡田 随象 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, テニュアトラック講師 (70727411)
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Project Period (FY) |
2015-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | がん / システム生物学 / ゲノム科学 / バイオインフォマティクス / 人工知能 |
Outline of Annual Research Achievements |
第1回班会議及び総括班会議を2015年7月18日に東京大学医科学研究所において開催した。早急に領域の研究方針の策定する必要性から総括班員のみにより開催し、採択までの経緯を振り返り、2015年度の研究の進め方について長時間の議論を重ねた。第2回班会議及び総括班会議を2016年3月22日に東京大学医科学研究所において、外部諮問委員、並びに学術調査官の出席のもとで開催し、研究の進捗状況、今後の研究計画について各計画研究代表者が報告し、外部諮問委員、並びに学術調査官から評価と助言を受けた。既に大きな成果がでていること、今後、重要な成果が期待できること、領域の運営に問題がないことが確認された。ホームページを開設し、ニュースレターを発行した。新学術領域「がん研究分野の特性を踏まえた支援活動」の開催する公開シンポジウムにおいて班員が研究の成果を発表する機会を得た。また、総括班内に設けられた研究支援班により、スーパーコンピュータを使った大規模データ解析、システム生物学的な解析等を実施し、ELSI 研究者が相互理解の場の設定等、課題横断的に研究を進めた。また、ヒトゲノム解析センターのスーパーコンピュータ利用講習会の場を借りて、本領域の情報解析支援を実施した。また、アウトリーチとして、新聞、NHK、共同通信、記者発表、AERA、子供の科学、実験医学等、多くの取材に対応し、社会へ本領域の重要性と成果を発表した。さらに、領域外のがん研究者、バイオインフォマティクス研究者、人文系研究者に対して、この新次元へと深化していく本領域の魅力と科学的・社会的インパクトを積極的に伝えて啓発し、平成28年度から始まる公募研究へ対応した。このように、この新しい学術領域を我が国に定着させ、研究成果を最大限に引き出し、がん研究、数理・情報、ELSIという三つの異分野を融合した新しい学術領域を創成することを目指した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本総括班の平成27年度の実績からわかるように、6つの計画研究は相互に深く共同・協力している。既に論文として共同研究の成果、例えば、Muramatsu T et al. Oncogene. 2016 (稲澤譲治と宮野悟の共同研究、記者発表)、Kataoka T et al. Nature Genetics. 2015 (小川誠司と宮野悟の共同研究、記者発表)などが出ている。小川誠司と宮野悟は洗練されたシステムとして研究が稼働しており、研究テーマごとに、新たなデータ解析の方式が開発された。稲澤譲治と宮野悟は、ロングノンコーディングRNAを含むネットワーク解析についても研究が進みつつある。さらに、ロングノンコーディングRNAの制御に関する高橋隆と宮野悟の共同研究も画期的な進展があった。武藤香織のELSI研究では、Watson Genomic Analyticsの導入に伴い、東大医科学研究所ゲノム診療部の古川洋一教授、血液腫瘍内科の東條有伸教授らの臨床現場、及びがんの基礎研究と密着したELSI研究ができるように準備をした。また、班員外への広がりとしては、九大別府病院の三森功士教授と、システム癌新次元の方式を探りながら、システム癌の方法論により成果が生れた。ニュースレターは第1号の発行を電子媒体として発行したことは経費と広がりから判断して大変合理的であったと考えている。アウトリーチ活動は、平成27年度は社会に向けての啓蒙のための公開シンポジウムは開催しなかったが、メディアを通した社会への発信は枚挙にいとわないほどであり、本領域の初年度としては十分な進捗状況であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
総括班会議を定期的に開催して、研究方針の策定、研究進捗状況の把握と内部評価を行うとともに、外部の有識者による諮問委員会を置いて評価と助言を受ける。テレビ会議システムによる研究討論の場を設け、また国内外のシンポジウム等への参加・開催によって、計算システム生物学研究者、がん研究者、ELSI研究者が相互に理解を深め、有機的に連携・共同研究を構築する機会を作る。また、総括班内に設けられた研究支援班により、スーパーコンピュータを使った大規模データ解析、システム生物学的な解析技術の講習会の開催、情報解析支援の調整などを課題横断的に進める。また、平成27年度国際共同研究加速基金(国際活動支援班)の採択を受け、相互派遣企画委員会(委員長:小川誠司)と国際共同研究推進委員会(委員長:稲澤譲治)を設置し、全年度に作成した企画案を実施するとともに、新たな企画を調整する。そして継続して、がんのオミクス研究における最先端の網羅的解析技術を持つ各計画研究者を核とした技術・情報の交流促進支援を行うとともに、ELSI研究構築のための全体の調整を行う。さらに、システムがんや新時代のがんELSI教育セミナー、若手の会の開催などを通じて、若手研究者間の交流を図るとともに、その相互の研究に対する理解を醸成し、人材を養成する。アウトリーチ活動にも力を入れ、ホームページ、電子版ニュースレター、市民セミナー、メディア発表などにより社会とのコミュニケーションを継続して図る。さらに、領域外のがん研究者、バイオインフォマティクス研究者、人文系研究者に対して、この新次元へと深化していく本領域の魅力と科学的・社会的インパクトを積極的に伝えて啓発し、この新しい学術領域を我が国に定着させる。
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Research Products
(2 results)