2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Conquering cancer through neo-dimensional systems understanding |
Project/Area Number |
15H05907
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮野 悟 東京大学, 医科学研究所, 教授 (50128104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲澤 譲治 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (30193551)
高橋 隆 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (50231395)
武藤 香織 東京大学, 医科学研究所, 教授 (50345766)
小川 誠司 京都大学, 医学研究科, 教授 (60292900)
岡田 随象 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (70727411)
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Project Period (FY) |
2015-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | がん / システム生物学 / ゲノム科学 / バイオインフォマティクス / 人工知能 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は公募研究が16件(A01班11件、A02班5件)の2年目の最終年度となり、6つの計画研究は3年目となった。総括班としては平成29年度に実施される中間評価に対応するために、全研究成果情報を収集した。その後テレビ会議システム及び対面会議により研究成果を取りまとめ報告書を6月に提出した。中間評価ヒヤリングは同年10月23日に実施され、領域代表の宮野と岡田随象教授と武藤香織教授が出席した。中間評価結果はA+であった。これと並行して第4回班会議及び総括班会議を外部諮問委員、並びに学術調査官の出席のもとで、8月2日に学士会館(東京都)で開催した。各計画研究及び公募研究の進捗状況・今後の研究計画について報告し、外部諮問委員、並びに学術調査官から評価と助言を受けた。班会議に引き続きオープンな議論とヒューマンネットワーキングをつくるために懇談会を開催した。日程の調整のつかなかった外部諮問委員については冊子にまとめた説明書を送付するとともに、別途、総括班員が全員、東京大学医科学研究所に集合し、説明を行った。意見として、研究の進捗はよいが、若手のネットワーク作りなど若手の人材育成に総括班として一層取り組むことが助言され、平成30年度に取り組むことを決定した。また、平成30年度~31年度の公募要領を作成し、平成30年度からの取り組みを一新することとした。アウトリーチ活動としては、ニュースレター(No.6~No.14)(電子版のみ)を発行し、計画研究及び公募研究のすべての紹介をおこなった。また、メディア等ではいくつかの発表を行った。支援班としてはスパコンでのソフトウェアSiGN-BN、Genomonなどのハンズオン講習を実施した。遺伝統計学夏の学校(8月26日~28日)を大阪大学で開催し、第1回国際がんプレシジョン医療カンファレンス(6月29-30日東京医科歯科大学)の開催を共催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本総括班の平成29年度の実績からわかるように、6つの計画研究は相互に深く共同・協力している。公募研究との連携は、全て完全にできたわけではないが、中間評価報告書でデータを提示して説明したように、かなりの深さで連携したと考えている。総括班のアウトリーチ活動としては、公募研究の紹介を中心にニュースレターを電子媒体で9報発行した。このほか、平成28年度上原賞(小川誠司・宮野悟:先端ゲノミクスによる癌の分子基盤の解明)に引き続き、2017年度武田医学賞(小川誠司:成人T細胞白血病の分子基盤とがんの免疫回避に関わる新たなメカニズムに関する研究)、平成29年度日本人類遺伝学会賞(稲澤譲治:分子細胞遺伝学的アプローチによる癌と遺伝性疾患のゲノム・エピゲノム解析研究)、2017年度日本消化器外科学会賞 JSGS Science of the year (学術部門)(三森功士:がんの多様性と進化を創出する選択圧について)、高松宮妃癌研究基金学術賞(小川誠司:骨髄異形成症候群の分子基盤の解明)等の受賞があり、学術だけでなく一般社会を対象として十分であったと考えている。総括班による支援活動は、ヒトゲノム解析センターのスーパーコンピュータを使った遺伝子ネットワーク推定ソフトウェアSiGN-BN、大規模ゲノムデータ解析パイプラインGenomonなどのハンズオン講習の実施(2回)、大阪大学での若手を中心にした3日にわたる遺伝統計学夏の学校の開催など充実している。また、International Conference for Precision Cancer Medicine(オーガナイザー・稲澤譲治教授:東京医科歯科大学:6月29-30日)を共催し、International Workshop for Systems Genetics(東京大学医科学研究所:6月23-24日)を主催した。
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Strategy for Future Research Activity |
総括班会議を定期的に開催して研究方針の策定、研究進捗状況の把握と内部評価を行うとともに、外部の有識者による諮問委員会を置いて評価と助言を受ける。平成30年度は新たに公募研究(11件)が採択され、領域内でのシナジーの創出に注力する。そのために領域代表を中心として公募研究代表者のサイトビジットを実施し解決すべき課題の同定と連携を行う。8月には班会議の前日に「若いと思っている人の会」を開催し、外部諮問委員の助言にそって若手ネットワーク形成を行う。また国内外のシンポジウム等への参加・開催によって、計算システム生物学研究者、がん研究者、ELSI研究者が相互に理解を深め、有機的に連携・共同研究を構築する機会を一層発展させる。総括班内に設けられた研究支援班により、スパコンを使った大規模データ解析、システム生物学的な解析技術の講習会の開催、情報解析支援の調整などを継続する。この支援機能と調整機能に基づき、宮野、岡田(数理・情報・統計的遺伝学)、稲澤、小川、高橋(実験系)は、多能な能力を有する人材育成を継続実施する。武藤はがんELSI研究を構築するなか、本領域全体のELSIも支える。そして、領域代表を中心として、本領域の円滑かつ効率的な研究の遂行と、計画研究間と本年度から開始される公募研究との有機的な連携を推進し、がん研究、数理・情報、ELSIという三つの異分野を融合した新しい学術領域を創成していく。国際共同研究加速基金(国際活動支援班)により、相互派遣企画委員会(委員長:小川誠司)と国際共同研究推進委員会(委員長:稲澤譲治)が、ダイナミックに企画・調整を実施する。アウトリーチ活動にも力を入れ、領域外のがん研究者、バイオインフォマティクス研究者、人文系研究者に対して、この新次元へと深化していく本領域の魅力と科学的・社会的インパクトを積極的に伝えて啓発しこの新しい学術領域を我が国に定着させる。
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Research Products
(6 results)