2017 Fiscal Year Annual Research Report
Stereoselective Reactions Induced by Supramolecular Catalysts
Project Area | Precise Formation of a Catalyst Having a Specified Field for Use in Extremely Difficult Substrate Conversion Reactions |
Project/Area Number |
15H05810
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石原 一彰 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (40221759)
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Project Period (FY) |
2015-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 有機化学 / 触媒 / 超分子化学 / 自己組織化 / 化学プロセス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、酸塩基複合化学を基盤に、あらかじめ設計した酸と塩基を組み合わせて超分子触媒を創製し、基質選択性、反応選択性、立体選択性、官能基選択性、サイト選択性、レジオ選択性など、既存の単一分子触媒では制御困難な高次選択的触媒反応システムの開発を目的に研究を実施した。 ナノサイズの精密キラルBroensted酸触媒の開発: 前年度に引き続き、アルジミンやケチミンを基質に選び、スチレン、インドール、2-メトキシフラン、トリメチルシアニドなどを求核剤に用いて求核付加反応を検討した。触媒設計には、ビナフチルジスルホン酸やキラルビナフチルピロリン酸などの光学活性二塩基酸を用い、アルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンなどを利用してそれらの金属塩を調製した。その際、モル比を調整することで、多種多様な金属塩を選択的に創ることができた。この方法を用いて触媒活性中心の酸塩基性の強さを調整し、触媒活性中心近傍に適切な不斉反応場を構築できるように検討を重ねた。その結果、幾つかの反応において、エナンチオ選択性や立体選択性を制御することに成功した。 水素結合ネットワークを利用したキラルBroensted酸触媒の開発: 前年度に引き続き、酵素の働きをヒントに、触媒活性近傍の鍵穴を水素結合ネットワークで構築すると同時に、水素結合ネットワークにとってBroensted酸性を強めることができれば、様々な選択的反応に利用できると期待し検討した。光学活性部ナフトール由来のC1対称型ビスリン酸を合成し、分子内のリン酸部位が互いに水素結合を作り、環状構造として安定化することを明らかにした。また、その際のBroensted酸性はビナフトールのモノリン酸よりも強いことを量子化学計算で確かめた。このBroensted酸触媒を用いて、アルジミンやケチミンのエナンチオ選択的Friedel-Crafts型反応を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
光学活性ビナフチルジスルホン酸(BINSA)及びその3,3'-置換型BINSAをキラルBroensted酸ユニットとして用いて不斉超分子触媒を設計し、高難度な反応開発に挑戦している。このBINSA誘導体は我々が世界に先駆けてその合成を確立しており、これらの光学活性Broensted酸を利用した共同研究をスタートして2年が経ち、順調に成果を挙げている。今年度の学会発表でこれらの共同研究成果を発表するに至った。来年度中に論文発表できると期待している。これらの研究の進展は当初の予定にはなかったことであり、期待以上の成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
水素結合やハロゲン結合のネットワークを最大限利用し、ナノサイズの反応場を精密設計し、その鍵穴制御によって反応の選択性を発現する触媒開発を推進する。特に遠隔不斉誘導などに水素結合ネットワークが有効なのではないかと期待している。 スルホン酸やリン酸以外にも、カルボン酸やフェノール、アミド、尿素、ボロン酸など比較的弱いBroensted酸が水素結合ネットワークの構築に有効であると期待される。比較的強いBroensted酸を触媒活性中心に用い、比較的弱いBroensted酸による水素結合ネットワークを反応場の構築に用いるなどの使い分けが重要だと考えている。また、ハロン結合も水素結合ほど強くはないが有効である。是非活用したい。 触媒内に多くの水素結合を導入しようとすると触媒の溶解性が悪くなり、均一触媒として利用できなくなる恐れもある、こうした溶解性の問題については別途溶解性を上げる置換基の導入が必要かもしれない。
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Research Products
(48 results)