2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Non-linear Neuro-oscillology: Towards Integrative Understanding of Human Nature |
Project/Area Number |
15H05878
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
津田 一郎 北海道大学, 理学研究院, 教授 (10207384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 浩之 京都産業大学, コンピュータ理工学部, 教授 (80201929)
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Project Period (FY) |
2015-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 自己再組織化 / 拘束条件付き自己組織化理論 / ニューロンオペラント条件付け / カオス解析 / 幻覚・錯視 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、1.ネットワーク病の数理モデルの構築、2.拘束条件下での神経ネットワークの自己再組織化の数理解析、3.振動的神経活動の統計解析および機能的意味の検討の三課題を行うことを目的としている。 研究課題1:津田グループにおいてDLBの複合型視覚性幻覚の数理モデルにおいてアセチルコリンリセプターの効果を自己再組織化の観点から検証した。特に、このリセプターの機能不全は、視覚野から前頭葉への長距離神経経路で与えられる低周波視覚情報に対してインデックス情報に伴う視覚像のシーンへの割り当てに誤動作を生じさせる可能性があることが分かった。 研究課題2:拘束条件自己組織化のダイナミクスを解明するために、不変多様体の安定性、制御可能性を調べた。安定性を考慮してもなお変分問題として定式化することが可能であることが分かった。伊藤グループにおいて視覚皮質での細胞集団活動をターゲットとしたNeuron Operant Conditioning実験のために、注視課題訓練システム、視線計測システム、記録用埋め込み電極の開発を行った。 研究課題3:伊藤グループにおいて配列型電極を用いたネコ視覚皮質からの多細胞活動データを解析し、同時記録された細胞の方位選択性の分布をcircular varianceを用いて定量化した。計測データを元にしたシミュレーション記録実験を行い、実際の生理実験データとの統計比較を行った。津田グループにおいてA03池田班、A04飛松班の実験データに対する数理解析を行った。A03班とはてんかん患者の脳波データに対して、FFT解析、カオス力学系による時系列解析を開始した。A04班とは健常者の錯視図形に対する判断の過程において、MEGデータに潜在的認知の事前痕跡に関する解析を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
H28年度は特に研究課題3に対して予想以上の成果が上がった。津田グループにおいて臨床班との共同研究が軌道に乗り始めたことは本領域全体にとっても大きな成果であると考えられる。津田グループにおける研究課題1のDLBに対する数理モデルに関しては相互連想、自己連想のそれぞれ新しいニューラルネットワークモデルが構築し、長距離神経経路が果たす役割を数理的に解明するため端緒が得られたことは大きな成果である。また、課題1に関して海外研究協力者のDaniel Collerton, John-Paul Taylorとともに査読付論文を発表した。さらに、伊藤グループにおいて、伊藤と圓山(連携研究員)は視覚皮質での多細胞活動記録において異なる方位選択性を持つ細胞を出来るだけ均一に記録するための配列型電極の開発のために、麻酔下ネコの視覚皮質から2種類の配列型電極による多細胞活動同時記録を行い、データの統計比較結果を論文発表した。この技術は、視覚皮質での細胞集団活動をターゲットとしたNeuron Operant Conditioning実験に活かされる。また、伊藤と森(領域雇用研究員)が実施する視覚皮質での細胞集団活動をターゲットとしたNeuron Operant Conditioning実験のために、覚醒ネコの注視課題訓練システムを開発し、2匹のネコに対して訓練を行った。頭部を固定するためのヘッドポストの装着および赤外線カメラによる視線位置計測システムの開発も合わせて行った。注視課題訓練システムの開発に当初の計画以上の時間を要したため、多細胞活動データの記録には至らなかったが、今年度は視覚皮質への埋め込み電極の装着を行い、Neuron Operant Conditioning実験を早期に実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題1に関しては、幻覚などの異常知覚が真に異常なのかどうか、健常者においても幻覚、錯視があるように幻覚を見る可能性があるか否かについて関連する神経回路網を数学的に解析することで明らかにしたい。 研究課題2に関しては、津田グループにおいて拘束条件付き自己組織化理論の枠組みで皮質における正常な機能分化に対して何が異常な機能分化をもたらすかをネットワーク自己再組織化の観点から調べる予定である。また、伊藤グループにおいて注視課題を訓練したネコに細胞活動記録用チェンバーを固定し、視覚皮質からの多細胞活動記録を開始する。特定の細胞集団活動の発生に対して報酬を与えるNeuron Operant Conditioning実験を開始し、マクロレベルでの報酬フィードバックに対して、ミクロレベルの細胞集団にどのような因果的な変化が生じるかの動態を解析する。 研究課題3に関しては、28年度に打ち合わせた方針に従って、A03池田班とはてんかんデータの数理構造をさらにカオス解析し、DCシフトと発作における数理構造の違いを発見することで発作の前兆現象になりうる数理構造を調べ、ニューロフィードバックの可能性を調べる。A04飛松班とはMEGデータに対しての隠れマルコフモデルによる解析を引き続き行う。また、刺激前の状態変化による刺激後応答の違いの有無に関しては複雑ネットワーク解析を試み、その構造を数理的に解析し、ニューロフィードバックにつなげられるか否かを研究する。
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Research Products
(17 results)
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[Journal Article] How can we see things that are not there?2016
Author(s)
Daniel Collerton, John-Paul Taylor, Ichiro Tsuda, Hiroshi Fujii, Shigetoshi Nara, Kazuyuki Aihara, Yuichi Katori
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Journal Title
Journal of Consciousnes Studies
Volume: 23
Pages: 195-227
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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