2017 Fiscal Year Annual Research Report
膜リン脂質クオリティ分析技術の開発と生命現象への適用
Project Area | Quality of lipids in biological systems |
Project/Area Number |
15H05899
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
佐々木 雄彦 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (50333365)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 広樹 秋田大学, 学内共同利用施設等, 助教 (10466740)
青木 淳賢 東北大学, 薬学研究科, 教授 (20250219)
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Project Period (FY) |
2015-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 脂肪酸 / リン脂質 / キナーゼ / ホスファターゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
リン脂質は親水基の構造に基づき数十程度のリン脂質クラスに分類され、解析されてきた。我々は、細胞内シグナル伝達リン脂質であるホスファチジルイノシトール3,4,5-三リン酸(PIP3)の新規定量分析法を開発した。そして、親水基にイノシトール三リン酸を含むリン脂質クラスであるPIP3に、異なる脂肪酸を持つ約30の分子種が含まれることを発見した。PIP3ホスファターゼであるPtenやSHIP1など欠損マウスにおいて、特定の脂肪酸を持つPIP3分子種が異なる割合で増加していることを見出した。このような知見から、リン脂質はヘッドグループとともにその脂肪酸の違いによって、分子種ごとに異なった代謝を受け、さらに、異なる生命現象に関与する可能性が強く示唆される。本研究の目的は、多様なリン脂質分子種が産生される分子機構および生命現象における意義を解明することである。 チロシンキナーゼBtk(Bruton tyrosine kinase)の活性化には、PHドメインを介した形質膜PIP3への結合が必須である。BtkのPIP3への結合嗜好性を、アシル基が異なるP IP3を用いたリポソーム結合アッセイで検討したところ、炭素数が多く二重結合が多いC38:4 PIP3に高い結合能を持つことが明らかとなった。Btkの活性化はSHIP1欠損細胞で亢進しており、この現象は、SHIP1欠損により、C38:4 PIP3が他のアシル基構造をもつPIP3分子種と比べて増加することと符合していた。SHIP1欠損マウスでみられる致死性肺炎の病態にBtk活性亢進がどのように関与するのかを明確にするため、SHIP1,Btk二重欠損マウスの作製を行った。次年度にはこれら変異マウスの病態解析によって、個体レベルでSHIP1-38:4 PIP3-Btk axisの意義を解析することができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試験管レベルでの脂質脱リン酸化活性測定系とともに、精度の高いタンパク質-脂質結合実験系が構築できたことで、細胞質タンパク質のアシル基嗜好性を解析することができるようになっている。また、遺伝学的な検証に必要な、遺伝子改変マウスも準備できている。リン脂質アシル基を形作る分子機構についてこれからさらに実験を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
リン脂質アシル基を形作る分子機構について、さらに実験を進める。Btkは、マクロファージやHEK293T細胞の形質膜上の突起小区画に局在し、活性化されている。SHIP1、LPIAT1(lysophosphatidylinositol acyl transferase 1)の発現レベルを増減するなどし、この局在と活性化の脂質依存性を検討し、また、BtkのN末端PHドメイン外に見出している一群の疎水性アミノ酸残基が、C38:4 PIP3の認識に関与するか否かを検討する。
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Research Products
(21 results)
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[Journal Article] PTEN Regulates PI(3,4)P 2 Signaling Downstream of Class I PI3K2017
Author(s)
Malek M, Kielkowska A, Chessa T, Anderson KE, Barneda D, Pir P, Nakanishi H, Eguchi S, Koizumi A, Sasaki J, Juvin V, Kiselev VY, Niewczas I, Gray A, Valayer A, Spensberger D, Imbert M, Felisbino S, Habuchi T, Beinke S, Cosulich S, Le Novère N, Sasaki T, Clark J, Hawkins PT, Stephens LR
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Journal Title
Molecular Cell
Volume: 68
Pages: 566~580
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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