2018 Fiscal Year Annual Research Report
膜リン脂質クオリティ分析技術の開発と生命現象への適用
Project Area | Quality of lipids in biological systems |
Project/Area Number |
15H05899
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
佐々木 雄彦 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (50333365)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 広樹 秋田大学, 生体情報研究センター, 助教 (10466740)
青木 淳賢 東北大学, 薬学研究科, 教授 (20250219)
江口 賢史 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (70457117)
佐々木 純子 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30333371)
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Project Period (FY) |
2015-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 細胞膜 / リン脂質 / 基質特異性 / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体膜の主要な構成物質であるリン脂質は、多様な生理機能を有する。申請者は、質量分析によるリン脂質の高感度解析技術を開発した。そして、ホスホイノシタイド群(PIPs)のアシル基が多様性に富み、各分子種の割合が健常状態と病態で大きく変化する状況を見出している。 SHIP1(Src homology 2 domain-containing inositol-5-phosphatase 1)は、ステアリン酸/アラキドン酸をもつphosphatidylinositol (3,4,5)-trisphosphate(C38:4 PIP3)を、他の脂肪酸構成をもつPIP3よりも強く脱リン酸化する。チロシンキナーゼBtk(Bruton’s tyrosine kinase)の活性化には、PHドメインを介した形質膜PIP3への結合が必須で、Btkの活性化はSHIP1欠損細胞で亢進している。BtkのPIP3への結合嗜好性を、アシル基が異なるPIP3を用いたin vitro結合アッセイで検討したところ、Btk PHドメインはC38:4 PIP3によりよく結合した。培養細胞レベルの検討で、Btkの形質膜移行は、SHIP1の高発現により消失した。また、アラキドン酸をもつPIPsの生合成に重要な機能が予想されるLPIAT1(lysophosphatidylinositol acyl transferase 1)のノックダウン細胞では実際にC38:4 PIP3レベルが低下し、Btkの形質膜移行についても減弱することが明らかとなった。さらに、SHIP1欠損マウスでの致死性肺炎の表現型は、LPIAT1との二重欠損により改善するが、これと同様に、PIP3結合不能型Btk変異体のノックインマウスとSHIP1欠損の二重変異マウスでも肺炎の軽症化と寿命の延長が明らかとなった。BtkがPIP3のヘッドグループとともにアシル基を認識する機構については、MDシミュレーションによりアラキドン酸と相互作用すると予測されるアミノ酸残基を見出した。このアミノ酸への変異導入は、Btkの形質膜への局在を大きく損なうことが、細胞レベルの実験でも確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PIPsアシル基がもつ生物学的意義の一端を、SHIP1-C38:4 PIP3-Btk axisの炎症への関与、すなわちSHIP1による炎症抑制の分子メカニズムの解明によって明示できたことは、当初の目的の達成と言える。一方で、その他の病態で見られるPIPsアシル基の変動については現象こそ捉えられるものの、その責任酵素をまだ特定できていない。個々の酵素の発現量の増減では顕著な変化を捉えられずにおり、代謝酵素に冗長的な機能があるものと推察される。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で得られたような、タンパク質によるアシル基認識の現象が、どれくらい一般的なものであるかについて興味を持っている。酵素活性については逐一検証する必要がある。標的タンパク質については、人口脂質二重膜への結合タンパク質のプロテオミクス解析で、検討することが可能と考えている。
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article] PIKfyve regulates melanosome biogenesis2018
Author(s)
Liggins Marc C.、Flesher Jessica L.、Jahid Sohail、Vasudeva Priya、Eby Victoria、Takasuga Shunsuke、Sasaki Junko、Sasaki Takehiko、Boissy Raymond E.、Ganesan Anand K.
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Journal Title
PLOS Genetics
Volume: 14
Pages: e1007290
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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