2018 Fiscal Year Annual Research Report
Microorganisms in a Confined Environment
Project Area | "LIVING IN SPACE" - Integral Understanding of life-regulation mechanism from "SPACE" |
Project/Area Number |
15H05946
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Research Institution | Osaka Ohtani University |
Principal Investigator |
那須 正夫 大阪大谷大学, 薬学部, 客員教授 (90218040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉田 隆 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (10312076)
一條 知昭 大阪大学, 薬学研究科, 助教 (20513899)
堀 克敏 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (50302956)
谷 佳津治 大阪大谷大学, 薬学部, 教授 (50217113)
槇村 浩一 帝京大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00266347)
山崎 丘 帝京大学, 公私立大学の部局等, 講師 (70301174)
中谷 肇 名古屋大学, 工学研究科, 講師 (80456615)
内井 喜美子 大阪大谷大学, 薬学部, 助教 (90469619)
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Project Period (FY) |
2015-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 閉鎖環境 / 微生物動態 / 微小重力 / 遺伝子伝播 / バイオフィルム |
Outline of Annual Research Achievements |
1.「高度管理空間におけるMicrobial worldの網羅解析」: 宇宙居住環境のモデルと考えられる高度に管理された閉鎖環境において環境微生物モニタリングを進め、今年度は特に細菌の活性について検討した。rRNAを標的とした解析により、①高度に管理された閉鎖環境である医薬品製造施設における活性をもつ細菌群集の空間分布、及び②国際宇宙ステーション(ISS)日本実験棟「きぼう」内における細菌群集がもつ活性の時空間変動を検討した。その結果、①閉鎖環境においては、外部から持ち込まれた環境細菌が壁面等に定着、増殖しており、ヒトを取り巻く空気中にはヒト常在細菌が存在し、それらが吸気口に集積されると考えられること、②細菌活性は時空間的な変動を示すが、ヒトが頻繁に接触する場所においてはRNA/DNAと細菌数がともに高く、活性を保有した細菌のホットスポットとなる可能性を明らかとした。 2.「閉鎖ストレス環境下での皮膚マイクロバイオームの変化」: 皮膚マイクロバイオームはケラチノサイトを介して様々な炎症反応を惹起することがあるが、この反応性は同一菌株でも生菌と死菌で異なると考えられる。そこで、生菌と死菌の存在比率と皮膚マイクロバイオームとの関係を検討した。Staphylococcus epidermidisとM. restrictaの生菌と加熱処理死菌のケラチノサイトへの細胞傷害性をLDH/MTT活性を指標として調べた。S. epidermidisの生菌は、高MOI値のみ傷害性を示したが、死菌はMOI値に対してパラドキシカル効果を示した。M. restrictaの生菌はMOI依存的な細胞傷害性を、死菌は高MOI値でのみ傷害性を示した。すなわち、ケラチノサイトに対する細胞傷害能は生菌と死菌では異なることから、生菌と死菌の存在比率は健康あるいは病態に影響を与える可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、①高度に管理された宇宙居住モデル空間において微生物群集を網羅解析し、その実像と動態を明らかにすると共に②微小重力下における微生物の生存戦略(バイオフィルム形成、遺伝子水平伝播)について研究を進め、閉鎖環境における微生物リスク及びヒトと微生物との関係について考究することを目標としている。現在までの検討により、①については、医薬品製造施設や閉鎖環境適応訓練設備を用いた環境マイクロバイオームやヒト皮膚マイクロバイオームの実像が微生物の活性に着目することにより、理解できつつありヒトと微生物との関係について検討を進めている。(2)については、擬似微小重力がバイオフィルム形成や遺伝子伝播に与える影響に関する解析を継続しており成果が見えつつある。以上から本研究は、概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度まで継続的に実施している「閉鎖環境における微生物の全体像理解」、「環境を反映するヒトマイクロバイオーム」、「微小重力下における微生物の生存戦略」についての検討を引き続き進める。さらに最終年度あたる今年度は、これまでの網羅解析および微生物間相互作用に関して得られた成果をふまえ、高度に環境管理された空間に存在する微生物の変遷を明らかとし、超長期宇宙居住における微生物リスクを低減するための検討を行う。また、製薬・食品産業における微生物管理に直接的に応用を図るとともに、微生物危害が危惧される医療施設などにおいて、微生物リスク低減につなげる。 <成果発信> 成果は、論文として積極的に国際誌へ投稿するとともに、国内外の学会等で発表し、関連する研究者らと論議する。海外の研究グループとも連携する。また、研究成果は医薬品製造環境や植物工場などの高度環境管理空間の微生物管理に直接的に応用可能であることから、関連する学術誌や一般誌、また学術集会等で公表する。最終年度にあたる今年度は、一般向けへの適切な成果発信法についても検討を進める。
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Research Products
(7 results)