2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Resonance Biology for Innovative Bioimaging |
Project/Area Number |
15H05948
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
宮脇 敦史 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, チームリーダー (80251445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧 昌次郎 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 助教 (20266349)
濱 裕 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 専門職研究員 (30261796)
下薗 哲 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (40391982)
阪上 朝子 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (90462689)
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Project Period (FY) |
2015-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | バイオイメージング / 共鳴エネルギー移動 / 細胞周期 / レチノイン酸 / 固体イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、レチノイン酸の蛍光プローブ哺乳類動物バージョンmGEPRA、ビリルビンの蛍光プローブUnaG、マイトファジーの蛍光プローブmSRAIを開発し、これらのプローブを発現するトランスジェニックマウスの作製を行っている。すなわち、ビタミンA代謝、ヘム代謝、自食現象の個体イメージングを目指している。個体イメージングに最適な、年齢、観察部位、手術(麻酔)の方法などの検討は、かなりの数のマウス個体を必要とし、3ヶ月から6ヶ月に渡る期間はそれぞれの結果にもとづいて次の策を練り上げることが重要である。実際の個体イメージングのための手技検討を行う予定であったが、平成27年度内にトランスジェニック個体の作製が間に合わなかった。年度繰越を行ったうえで、手技検討に取り組んだ。 こうした取り組みと平行して、平成27年度には、レチノイン酸プローブmGEPRA-B(高親和性)、mGEPRA-G(中親和性)、 mGEPRA-AAA(低親和性)については、培養細胞に振りかけたレチノイン酸に対する反応性を確認した。ビリルビンプローブUnaG (Kd = 0.1 nM) については、2種類の親和性変異体UnaG2 (Kd = 2 nM), UnaG20 (Kd = 20 nM)を作製し、培養細胞で親和性の違いを確認した。また、細胞質膜を介するビリルビン移行のキネティックスを調べた。マイトファジープローブmSRAIについては、細胞に発現させ固定した状態でミトコンドリアのリソゾーム移行を可視化できることを確認した。mSRAIの発現細胞が創薬のためのドラッグスクリーニング系に利用できることを証明した。 平成28年度には、mGEPRAのマウス個体のFRETを観察するための3次元顕微鏡システムの光学系のセットアップを行い、UnaGとmSRAIについては、AAVベクターによる遺伝子導入の準備を行った。さらに、マウス脳内mSRAIのシグナルを大規模に3次元観察することを目指して、透明化技術ScaleSを最適化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レチノイン酸イメージングについて:GEPRA-BとGEPRA-AAAについては高発現のトランスジェニックマウスラインが得られた。GEPRA-Gについては理由は不明であるが低発現ラインしか得られていない。GEPRA-BおよびGEPRA-AAAのマウス胎仔からex vivoの系でFRETシグナルを定量的に計測する手技を確立した。脳下垂体、嗅覚器、胸腺、心臓、副腎について、非常に明確なレチノイン酸濃度の勾配を可視化することに成功している。全身丸ごとのイメージングについては、計画班の横田グループの3次元顕微鏡システムを使用する予定で、そのための顕微鏡システム(干渉フィルタ、ダイクロイックミラー、レーザー光源)などを準備した。 ビリルビンイメージングについて:培養細胞系では、細胞が直接的に血清(ビリルビンを弱く結合するアルブミンに富む)に触れるため、in vivo状況を再現できない。とりあえずは、UnaG変異体(弱い親和性を示すUnaG2, UnaG20)を発現する培養細胞で、ビリルビン添加による細胞内ビリルビン濃度の変化を計測することで、膜を介するビリルビン動態を解析した。またゼブラフィッシュの卵にUnaG, UnaG2, UnaG20のRNA (試験管内転写産物)を導入することで、魚の胚発生に伴うビリルビン動態を観察した。 マイトファジーイメージングについて:プローブ遺伝子の発現の時空間制御を行うためloxPシステムを採用してトランスジェニックマウス個体の作製を行っている。平成28年度終了においても、ラインの確認は未完了である。
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Strategy for Future Research Activity |
レチノイン酸イメージングについて:計画班横田グループの3次元顕微鏡システムを集中的に利用し、マウス個体全身におけるレチノイン酸濃度分布について包括的解析を進める(これをRAome: ラオームと呼ぶ)。同時にレチノイン酸の代謝に関係する酵素(合成酵素および分解酵素)の遺伝子発現分布をin situ hybridizationによって解析し、レチノイン酸濃度の勾配を創り出すメカニズムを探る。さらに細胞内外に豊富に存在する数種類のレチノイン酸結合タンパク質についても、それらのレチノイン酸濃度勾配生成への貢献を調べる。 ビリルビンイメージングについて:いずれにしてもプローブを大量に発現するマウス個体を獲得することを最優先とする。トランスジェニックマウスの脳組織において、まったく血管を傷つけることなく、UnaG (UnaG2, UnaG20)のFRETシグナルを取り出す技術を開発する。特に頭蓋骨や硬膜をはがす手術法を検討する。麻酔法についても検討を加える。 マイトファジーイメージングについて:トランスジェニックマウスのライン確立にまだ半年以上の時間がかかりそうなので、プローブをAAVベクターを使って生きたマウスの脳組織に導入することを開始する。黒質に注入し、その後に薬物注入でパーキンソン病様症状を誘起する実験を計画している。また、蛍光観察は組織固定後に行い、大規模高精細の3次元再構築を目指して、ScaleSによる透明化を行う。
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Research Products
(4 results)