2018 Fiscal Year Annual Research Report
Live imaging of cell-to-cell communication
Project Area | Resonance Biology for Innovative Bioimaging |
Project/Area Number |
15H05949
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松田 道行 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (10199812)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
隅山 健太 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, ユニットリーダー (00370114)
平島 剛志 京都大学, 医学研究科, 講師 (10620198)
築地 真也 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40359659)
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Project Period (FY) |
2015-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | イメージング / 細胞生物学 / 再生 / 蛍光バイオセンサー / FRET |
Outline of Annual Research Achievements |
筋衛星細胞と炎症細胞のコミュニケーションについて研究を行った。筋衛星細胞に特異的に発現するPax7の下流にCREリコンビナーゼを発現するマウスと、CRE依存性に細胞増殖刺激を司るERK MAPキナーゼのフェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)バイオセンサーを発現するトランスジェニックマウスとを交配させ、筋衛星細胞特異的にFRETバイオセンサーを発現するトランスジェニックマウスを開発した。次に、このマウスの横紋筋 に傷害を誘導し、多光子顕微鏡下に観察した。その結果、筋衛星細胞が静止期から細胞増殖期に入り、傷害部位に向けて運動する様子を多光子顕微鏡にて観察することに成功した。さらに、細胞周期特異的センサーFUCCIを発現するマウスも用いて、組織傷害時におけるERK活性、細胞周期、細胞遊走能について検討した。その結果、筋衛星細胞はG2期において運動がもっとも亢進すること、ERKはG1/S移行をCDK2の活性制御を介して促進していることを明らかにした。これらの結果は、細胞増殖を制御するERK MAPキナーゼが細胞周期を制御すると同時に筋衛星細胞の傷害部位への移動をも制御していることを示している。 また、同様のERK活性と細胞運動の関係をマウス胸腺組織においても検討した。意外なことに、胸腺においてはERK活性化が胸腺細胞の運動を抑制することを発見した。画像処理や数理処理を加えERKの活性動態を1細胞レベルで詳しく解析すると、運動抑制様式がT細胞のサブセット間で異なり、特にCD4 T細胞ではERK活性そのものではなく動的変化に応じて運動速度が制御されることを見出した。 以上の結果は、細胞増殖や細胞活性化を司るERK MAPキナーゼと細胞運動の関係は組織や細胞種によって大きく異なり、さまざまなERK-CDK経路の阻害剤の効果も組織によって大きく異なることを示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスを使った実験の一部は、マウスの供給が十分でなかったこともあり、やや遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスを使った分子活性のライブイメージングは世界的にも極めて少数のグループのみが有する技術であり、今後、この優位性を生かして、試験管内の知見と生体反応とのギャップを埋める研究を続けていく予定である。また、論文は投稿中のものが複数あり、これらを成果として発信していくことが大事である。
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Research Products
(9 results)