2017 Fiscal Year Annual Research Report
新しいスイッチング機構に基づく高精度蛍光イメージングプローブの開発
Project Area | Resonance Biology for Innovative Bioimaging |
Project/Area Number |
15H05951
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神谷 真子 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 講師 (90596462)
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Project Period (FY) |
2015-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 蛍光プローブ / 超解像イメージング / 光増感剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.自発的光明滅を示す超解像イメージングプローブの開発と応用 分子内スピロ環化平衡を蛍光明滅原理として開発した自発的な光明滅を繰り返す超解像イメージングプローブHMSiRの応用展開ならびに多色化を実施した。具体的には、Yale大学と共同し、HMSiRにtetrazine基を導入したHMSiR-Tzを開発し、TCO導入オルガネラ局在性リガンドとの併用により、生細胞におけるオルガネラ膜の高密度染色・長時間超解像イメージングに成功した(Nat. Biotech. 35, 773-780 (2017))。また、HMSiRの構造展開を行い、488 nmで励起可能な新規自発的光明滅超解像イメージングプローブHEtetTFERを開発し、HMSiRとの同時二色超解像イメージングが可能であることを示した(Chem. Comm. 54, 102-105 (2018))。 2.ストレス関連光機能性分子の創製 所属する研究室でこれまでに開発したGGT(γ-glutamyltransferase)活性検出蛍光プローブgGlu-HMRGに構造修飾を施すことで、GGT活性に依存して光増感能を発揮する光増感剤を開発した。具体的には、GGTとの反応により初めて可視光領域の吸収が回復し、可視光照射により一重項酸素を産生するactivatable光増感剤gGlu-HMSeRを開発した。さらに、GGTを発現するがん選択的なPDT(光線力学療法)に有効であることを示した(Angew. Chem. Int. Ed. 56, 10418-10422 (2017))。 3.生体深部イメージング用プローブ シリルローダミンを母核として分子内スピロ環化特性を最適化することで、近赤外領域で機能するGGT活性検出蛍光プローブgGlu-HMJSiRを開発した(Bioconjugate. Chem. 29, 241-244 (2018))。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Tetrazine-clickを用いたHMSiRのオルガネラ膜高密度ラベル化法は、HMSiRが脂溶性環境において閉環体が優先することを積極的に活用しており、生細胞において十分な密度での標的オルガネラ膜のラベル化を実現し長時間の超解像観察が可能となった。本手法は既存の色素では実現できない成果であり、また最近我々が開発した488 nmで励起可能な新規色素HEtetTFERにも適用可能である。これらの色素を用いることで、今後様々な構造の同時二色超解像イメージングが期待される。GGT活性に依存して光増感能を発揮する新規光増感剤gGlu-HMSeRは、GGTを発現しない正常組織への光毒性を低減できたことから、今後、光線過敏症などの副作用が少ないPDT治療薬として利用できる可能性が示された。また、シリルローダミンを母核として開発したgGlu-HMSiRは近赤外領域で機能することから、今後生体深部イメージングへの適用が期待される。 これらの成果は当初目標としていた平成29年度の計画を超える成果をであったため、上記の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
1.自発的な光明滅を繰り返す超解像イメージングプローブの開発 分子内スピロ環化平衡を蛍光明滅原理として用いた自発的光明滅プローブの更なる多色化を目指し、561 nmで励起可能な自発的光明滅色素の開発を行う。まず、所属する研究室において確立した計算化学によるpKcycl(蛍光性フォームと無蛍光性フォームの割合の指標)予測法に則り、候補化合物を設計・選定する。さらに、選定した化合物を実際に合成してその特性を評価し、生理的pHにおいて適切な蛍光性フォームと無蛍光性フォームの割合および蛍光性フォームの寿命を示すか評価する。さらに、光照射により蛍光性フォームと無蛍光性フォームの割合を調整可能な新たな色素の開発にも取り組む。 また、細胞内求核分子と蛍光団との分子間求核付加反応を新たな光明滅原理として開発した赤色および緑色の候補蛍光団の生細胞応用を目指し、これらの蛍光団にタグ蛋白質の基質部位を導入した誘導体を合成し、標的蛋白の特異的なラベル化が可能か、またその細胞膜透過性について評価する。 2.ストレス関連光機能性分子の創製 これまでに開発した、β-ガラクトシダーゼとの反応により光増感能と細胞内滞留性が回復する新たなactivatable光増感剤SPiDER-killerの生物学的応用を実施する。具体的には、一部の細胞のみにβ-ガラクトシダーゼを発現するモデル動物組織に適用し、標的細胞特異的な細胞死誘導が可能か検討する。また、標的とする細胞種の拡張を目指し、まず最初に、異なる酵素活性により蛍光性と細胞内滞留性が同時に回復する蛍光プローブを開発する。具体的な標的酵素としては、一部の癌などで発現が亢進しているアミノペプチダーゼを候補とし、標的アミノペプチダーゼを発現する細胞のみを一細胞レベルで染色可能なプローブを開発し、目的とする光感剤の設計指針を得る。
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Research Products
(39 results)