2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Chromosome Orchestration System |
Project/Area Number |
15H05978
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
今井 由美子 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50231163)
|
Project Period (FY) |
2015-06-29 – 2020-03-31
|
Keywords | ウイルス / 染色体 / ヒストン |
Outline of Annual Research Achievements |
ウイルスは宿主細胞の核機能を含む様々な細胞機能を利用・略奪することによって増殖する。そこで感染細胞の核内では、ウイルス・宿主相互作用が引き起こされる。本研究では、ウイルス感染によって、染色体が調和して機能する仕組み「染色体オーケストレーションシステム(染色体OS)」がどのように制御されているかを解明することを目的としている。当該年度は、インフルエンザウイルスをモデルとして、抑制性ヒストンマークの修飾酵素に着目して、哺乳細胞あるいはマウス個体の感染系、in vitroウイルスポリメラーゼ転写・複製活性測定系を用いて解析を行った。同修飾酵素の野生型ならびに遺伝子欠損細胞を用いた免疫沈降・プロテオイクス解析から、同修飾酵素特異的にウイルスタンパク質と相互作用する核内タンパク質を同定した。また、染色体の基本構築を中心に全ゲノムレベルのタンパク質局在情報(ChIPseq)、転写情報 (RNAseq)の解析を行ったところ、同修飾酵素依存的に、またウイルス感染によって、特定領域の染色体の高次構造が変化する可能性を見出した。現在、染色体3次元構造情報 を、FISH法や3C法・4C-seq法で解析している。さらに、同修飾酵素の野生型ならびに遺伝子欠損マウスを用いた解析から、同酵素がウイルス感染症の病態の形成に関わっている可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、当該年度においては、ウイルス感染に伴う宿主染色体3次元構造の変動プロファイル解析に向けた情報解析パイプラインの整備を計画していた。これに関しては、インフルエンザウイルス(H1N1/PR8株)を感染させたマウスES細胞やマウス胎児線維芽細胞を使って、ヒストンマークを中心としたChIP-seq解析、ならびにRNAseq解析を行って、次年度以降に向けた情報解析パイプラインを整えてきた。また、当初予定していた、ウイルスタンパク質と相互作用する再構成系タンパク質の同定に関しては、各種インフルエンザウイルスタンパク質を発現させた細胞の核分画を用いて、免疫沈降・プロテオミクス解析を進め、相互作用核内タンパク質を同定することができた。このようなことから、おおむね順調に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
染色体高次構造の解析に関して、3C・4C-seq法やFISH法を用いた解析を進めてきた。今後同解析にさらに力を入れる計画である。また、これまでに得られた情報を基に、染色体構造の空時間的変遷が、病態の形成につながるメカニズムの解析を重点的に行う予定である。
|
Research Products
(16 results)