2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Toward an integrative understanding of functional zones in organelles |
Project/Area Number |
17H06419
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 和俊 京都大学, 理学研究科, 教授 (70182194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾野 雅哉 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, ユニット長 (00270900)
西頭 英起 宮崎大学, 医学部, 教授 (00332627)
片桐 豊雅 徳島大学, 先端酵素学研究所(プロテオ), 教授 (60291895)
名黒 功 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 准教授 (80401222)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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Keywords | 小胞体ストレス / 輸送 / タンパク質分解 / 超解像顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、小胞体ストレスセンサーの活性化およびタンパク質分解機構に焦点をあて、小胞体に形成されるオルガネラ・ゾーンの解明を目的としている。 (1)小胞体ストレスセンサーの活性化に関わる選別輸送ゾーンの解析:小胞体ストレスセンサー分子の1つATF6は、ストレスに応答してゴルジ体へ移行しプロテオリシスを受けて活性化する。今年度の解析では、超解像顕微鏡および共焦点顕微鏡を用いた解析により、平常時のATF6が小胞体シャペロンやER exit siteマーカーとは異なる局在パターンを示すこと、ストレスに依存してER exit siteに集積しゴルジ体へ以降することを明らかにした。また、ATF6の輸送制御分子を同定するために、細胞内ビオチン化法によってATF6近傍のタンパク質をビオチン化する系を構築した。ゴルジ体-小胞体間シャトルによるセンサー分子IRE1の活性化機構については、IRE1の糖鎖修飾部位を同定し、乳がん細胞において、IRE1の糖鎖修飾(部位)がIRE1の小胞体-ゴルジ体移行に関与することを見出した。さらに、内在性IRE1糖鎖修飾部位特異的認識抗体の樹立に成功した。 (2)小胞体のタンパク質分解ゾーンに関する研究:小胞体シャペロンとタンパク質分解関連因子Derlinファミリーの局在比較を行い、両者の局在パターンが異なることを明らかにした。また、小胞体膜上の不良タンパク質分解システム(ERAD)と、小胞体タンパク質を翻訳後すぐに細胞質で直接分解するシステム(ERpQC)について、それぞれの分解経路に固有の分子と共通する分子の同定を試み、トランスロコン関連分子やE3リガーゼを同定した。 (3) ミトコンドリア-小胞体連携ゾーンに関する研究:褐色脂肪細胞の機能において、ミトコンドリア-小胞体間のクロストークが重要であることと、そのシグナル伝達分子として小胞体膜貫通型分子を同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オルガネラ・ゾーンの解析を遂行するためにはゾーンの可視化が必要不可欠であり、計画通り可視化に関するデータが蓄積しつつある。具体的には小胞体シャペロンやATF6、分解関連因子の局在解析から、これまで同一のオルガネラに局在すると捉えられてきた分子同士について、小胞体内で異なる領域に局在することが分かってきた。この知見は小胞体が異なる機能を持つ領域に細分化されていることを示唆するものと考えている。また、タンパク質分解ゾーンやミトコンドリア-小胞体連携ゾーンに関しては、ゾーン形成やシグナル伝達に関わる分子の候補の同定に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
解析対象とするオルガネラ・ゾーンの可視化をさらに進展させる。IRE1については、蛍光タンパク質による超解像イメージングや、作成した糖鎖修飾特異的抗体を用いた局在解析を行う。ミトコンドリア-小胞体間クロストークシグナルの伝達分子については特異的抗体を作製し、共焦点蛍光顕微鏡および光-電子相関顕微鏡法(CLEM)による可視化を目指す。ATF6についてはゴルジ体の特定の領域に輸送されるかに着目した可視化解析を行うとともに、構築した細胞内ビオチン化システムを用いて、小胞体ストレスの有無によってATF6と結合する分子の同定に取り組む。
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Research Products
(23 results)