2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Toward an integrative understanding of functional zones in organelles |
Project/Area Number |
17H06419
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 和俊 京都大学, 理学研究科, 教授 (70182194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾野 雅哉 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (00270900)
西頭 英起 宮崎大学, 医学部, 教授 (00332627)
片桐 豊雅 徳島大学, 先端酵素学研究所, 教授 (60291895)
名黒 功 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 准教授 (80401222)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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Keywords | オルガネラ・ゾーン |
Outline of Annual Research Achievements |
ATF6の活性化を制御する因子のゲノムワイドsiRNAスクリーニングについては、2次スクリーニングを実施し、独立したsiRNAノックダウンによってATF6の核移行抑制が認められる遺伝子を絞り込んだ。これら遺伝子のノックダウンにより、全長型ATF6の増加や、ATF6のプロセシング遅延が観察された。タンパク質分解ゾーンについては、Derlin1への依存度の高い分解基質を同定した。また、抗精神病薬オランザピンがインスリンの正常な折り畳みを阻害し、小胞体関連分解を介して インスリンの分解を引き起こすことを明らかにした。 連携ゾーン研究において、褐色脂肪細胞における小胞体ストレスセンサーPERKを介したミトコンドリア機能制御の分子メカニズムについて研究を進めた。具体的には、ミトコンドリアストレス特異的にリン酸化されるPERKに対するモノクローナル抗体を作製し、細胞免疫染色による小胞体―ミトコンドリア間でのストレスシグナルの受容の場のイメージングを試みた。また、分解ゾーンについては、ERADに関わるDerlin-1およびDerlin-2の脳中枢系特異的コンディショナルノックアウトマウスを作製し、小胞体タンパク質分解ゾーンの生理的意義を明らかにした。 ゴルジ体小胞体間シャトルによるIRE1活性化機構の解明研究において、昨年度樹立したIRE1―HA安定発現乳がん細胞株を用いて、小胞体ストレス時におけるIRE1-HAの経時的な小胞体―ゴルジ体間の移行およびゴルジ体―小胞体への逆移行を顕微鏡にて可視化し、IREの小胞体―ゴルジ体間輸送・逆輸送に関わる候補タンパク質を分担研究者の尾野との共同研究にてプロテオーム解析を通じて複数同定した。さらに、糖鎖修飾IRE1のゴルジ体―小胞体シャトルと前年度同定したLGAL3BPの分泌経路とが異なる経路にて輸送されていることを可視化した(論文準備中)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ATF6の活性化制御因子として、小胞体局在性タンパク質や小胞輸送に直接関わる分子が同定されており、これら分子の解析により、ATF6によるストレス感知やATF6のストレス依存的輸送機構が明らかになると期待される。タンパク質分解ゾーンに関しては、実験系の最適化により3D画像での共局在解析を行えるようになった。また、ゾーン構成因子の局在比較に加え、分解基質の局在パターンについても超解像蛍光観察を行えるようになりつつある。 ミトコンドリア-小胞体連携ゾーン研究においては、PERKのミトコンドリアストレス特異的リン酸化の細胞内局在を可視化することに成功し、Dojindoとの共同研究により小胞体とミトコンドリアの可視化プローブの開発を行い、細胞内でのストレスシグナルの場とオルガネラの局在関係の同定を試みている。また、PERKリン酸化酵素の同定については、PERK結合分子の中から数個のキナーゼに絞り込んだところである。小胞体分解ゾーン研究では、Derlinによる小胞体膜上でのコレステロール合成に関わる膜型転写因子SREBP-2の活性制御を明らかにし、論文投稿中である(iScience改訂中)。 小胞体品質管理に関わる選別輸送ゾーンの研究では、糖鎖修飾IREIの小胞体―ゴルジ体間輸送関連分子同定のために、昨年度樹立したIRE1-HAタグを恒常的に発現する乳がん細胞にて、尾野との共同研究によるショットガンプロテオームを通じてIRE1-HAの小胞体―ゴルジ体輸送、逆輸送関連候補タンパク質を選抜したこと、内在性IRE1糖鎖修飾特異的認識抗体を用いての乳がん組織における糖鎖修飾IRE1の発現を確認した。さらに、糖鎖修飾IRE1のゴルジ体―小胞体シャトルと前年度同定したLGAL3BPの分泌経路とが異なる経路にて輸送されていることを可視化したことから、当初予定通り進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
ゲノムワイドsiRNAスクリーニングにより同定した遺伝子のノックアウト細胞の樹立と生化学的解析を進める。また、近傍タンパク質ビオチン化法によりATF6結合タンパク質の同定を行い、ゲノムワイドsiRNAスクリーニングで得られた知見と組み合わせて、ATF6選別輸送ゾーンの形成機構とゾーン形成の意義の解明を目指す。タンパク質分解ゾーンについては、各ゾーン構成因子のノックダウンやノックアウトによって、それぞれのゾーンに特異的な分解基質の局在パターンがどのように変化するか調べる。 ミトコンドリア-小胞体連携ゾーン研究では、ミトコンドリアストレス特異的PERKリン酸化酵素を同定し、その活性化メカニズムと、下流へシグナルを伝達する応答ゾーンの可視化を目指す。さらに、褐色脂肪細胞においてゾーン形成に必要な分子の同定を目指す。小胞体分解ゾーン研究では、Derlinによるタンパク質分解ゾーンの生理的意義を明らかにするとともに、ERpQCがmRNAを制御する分子メカニズムを生化学的に解明し、その分子機構の細胞内局在をERADとの比較において明らかにする。 小胞体品質管理に関わる選別輸送ゾーンの研究では、ショットガンプロテオーム(尾野)との共同研究にて選抜した糖鎖修飾IREIの小胞体―ゴルジ体間輸送関連分子の小胞体―ゴルジ体間シャトルの可視化および乳がん臨床検体を用いての糖鎖修飾IRE1、それら輸送相互分子の発現と臨床所見との相関関係の解明を目指す。さらに、IRE1糖鎖修飾部位変異体ノックイン細胞の樹立から、IRE1糖鎖修飾におけるGRP78シャペロン活性への影響について検討する。
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Research Products
(22 results)
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[Journal Article] Antipsychotic olanzapine-induced misfolding of proinsulin in the endoplasmic reticulum accounts for atypical development of diabetes.2020
Author(s)
Ninagawa S, Tada S, Okumura M, Inoguchi K, Kinoshita M, Kanemura S, Imami K, Umezawa H, Ishikawa T, Mackin RB, Torii S, Ishihama Y, Inaba K, Anazawa T, Nagamine T, Mori K.
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Journal Title
eLife
Volume: 9
Pages: e60970
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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