2018 Fiscal Year Annual Research Report
Hybrid Catalyst-Driven New Prospects for Sequence Regulation in Polymer Science
Project Area | Hybrid Catalysis for Enabling Molecular Synthesis on Demand |
Project/Area Number |
17H06453
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大内 誠 京都大学, 工学研究科, 教授 (90394874)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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Keywords | 高分子合成 / 配列 / 触媒 / ハイブリッド / 重合 / 酵素 / エステル / 酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質やDNAなどの天然高分子は繰り返し単位の並び方,すなわち配列を制御し,配列に基づいて構造を形成し,機能を発現している。一方,合成高分子に対しては,重合触媒の発展によって,様々な高分子が合成され,分子量,末端基,立体規則性などの構造因子の制御が実現されてきた。しかし,配列を制御するのは未だに難しい。我々はこれまでに,重合反応やその素反応である付加反応に別の反応を連動させることで,従来は困難であったビニルポリマーのモノマー配列を制御する手法をいくつか開発してきた。しかし,概念実証(proof of concept)にとどまっており,さらに副反応の進行,反応収率の低さ,低濃度条件が必要であるなどの課題があるため,その実効性は限定的であった。そこで本研究では,ハイブリッド触媒のコンセプトを導入することで,実効性のある配列制御手法を開発することを目的とした。さらに,触媒サイトの導入された配列制御高分子を合成し,ハイブリッド触媒機能の創出を目指す。 平成30年度は,これまで研究してきた環化重合と側鎖変換による交互配列制御法に対し,感温性機能のあるN-イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)とメタクリル酸(MAA)の交互配列制御を実現した。得られた交互配列ポリマーは水中で温度を上げると温度に応じて濁度がゆっくり向上する挙動を示し,従来の感温性ポリマーとは一線を画す感温性挙動を示すことを見出し,論文発表に至った(Angew. Chem. Int. Ed.に発表)。 さらに,かさ高くて変換可能なメタクリレートを用いて一分子ラジカル付加反応を繰り返すことで配列を制御する手法に対し,側鎖の活性化エステル変換を経ることで,ラジカル付加の効率と変換効率の向上を実現した(Polym. Chem.に発表)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的であるハイブリッド触媒による配列制御,配列制御によるハイブリッド触媒機能の創出には至っていないものの,これらの足場となる反応系や高分子合成を実現し,論文発表に至った。そのため,おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度に見出した配列制御ポリマーのユニークな感温性を活かし,このポリマーに有機触媒を少量導入することで温度に対して急激に反応場を形成して触媒活性を変化させる触媒を開発し,酵素様触媒を開発する。また,平成30年度に見出した主鎖構築と側鎖変換の連動による配列制御法に対し,光を用いることで合成プロセスの効率化を図る。
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