Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
道田 豊 東京大学, 海洋研究所, 教授 (20323628)
齊藤 宏明 (独)水産総合研究センター, 東北区水産研究所, 室長 (30371793)
高橋 一生 (独)水産総合研究センター, 東北区水産研究所, 主任研究員 (00301581)
鈴木 光次 北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (40283452)
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Research Abstract |
平成20年夏季の西部北太平洋域において採取した植物プランクトンおよび窒素固定生物の群集組成をより詳細に解析した.その結果,亜寒帯循環域において相対的に高い基礎生産力および高い光合成水柱光利用効率を支えていた植物プランクトンが主にOdontella属及びFragilariopsis属の珪藻種であったことが今年度購入した走査型電子顕微鏡により明らかとなった.今まで西部北太平洋亜寒帯循環域の植物プランクトンによる基礎生産力および光合成水中光利用効率は年間を通して低いと考えられてきたが,本研究によりそれら値は時空間的に大きく変動することが示唆された.また,台風通過後の亜熱帯海域の植物プランクトン群集を評価する模擬培養実験の試料において,有殻黄金藻種は希であったことが判明した.この結果について,現在,投稿論文を作成中である.さらに,定量PCR法及び変成剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)法により,熱帯および亜熱帯域における窒素固定生物は顕著な空間的棲み分けをしていたことが解明された.その要因として,水温および海水中のリン酸塩濃度の違いが寄与していたことが本研究によって明らかとなった.その成果の一部は,現在,投稿論文として国際誌に投稿中である.平成22年夏季における西部北太平洋,ベーリング海及びアリューシャン列島海域表層における植物プランクトン群集の光合成特性を,今年度購入したFIRe蛍光光度計を用いて,連続的に測定する試みを行った.残念ながら,本装置の解析プログラムにバグがあることが判明したが,今年度来にはデバッグに成功したので,平成22年度の西部北太平洋亜熱帯域における航海で同様の試みを実施し,台風通過後の植物プランクトン群集の応答を解析する際に役立てる予定である.
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