2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Creation of non-equilibrium soft matter physics: Structure and dynamics of mesoscopic systems |
Project/Area Number |
18068006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土井 正男 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授 (70087104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥薗 透 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特任講師 (10314725)
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Keywords | 乾燥プロセス / 薄膜 / ゲル / シミュレーション |
Research Abstract |
固体基板上の溶液の乾燥現象は、インクジェット印刷技術およびそれを応用した電子デバイスの作製等における重要なプロセスとして近年関心が高まっており、その制御を目指した基礎研究が必要不可欠となっている。本研究では、固体基板上における高分子溶液の乾燥ダイナミクス関する理論・シミュレーションおよび実験による研究を行った。特に、接触線を固定した場合の高分子液滴の乾燥後の形状を決める物理的な要因を明らかにするため、乾燥中の高分子濃度の空間分布の可視化実験、および、気相と液相のダイナミクスを連成させた数値シミュレーションを行い、以下のような結果を得た。 (1) 蛍光測定により、液滴乾燥時の高分子濃度分布の動的測定に成功した。溶質高分子として蛍光ポリスチレンを用い、ガラス基板上に滴下した液滴内部の蛍光強度分布を下面から蛍光顕微鏡で観測すると同時に、液滴側面に設置されたデジタル顕微鏡により液滴の形状を測定した。これらのデータから溶質高分子の濃度分布の時間変化を得ることができた。 (2) 理論・数値シミュレーションにより蒸発速度に対する流れおよび拡散の相対的な速さが乾燥後の形状を決める主要な因子であることを明らかにした。また、基板上に複数の液滴がある場合には、気相における拡散場を介した干渉効果により、液滴の乾燥後形状に非対称性が生じることを示した。これは気相と液相のダイナミクスを連成させたシミュレーションによってはじめて明らかにされた結果である。 以上の成果は、応用上重要な知見を与えるとともに、溶液の乾燥に関する新たな視点をもたらすものである。
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Research Products
(19 results)