2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Creation of non-equilibrium soft matter physics: Structure and dynamics of mesoscopic systems |
Project/Area Number |
18068006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土井 正男 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (70087104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥薗 透 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 准教授 (10314725)
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Keywords | 乾燥プロセス / 薄膜 / ゲル化 / シミュレーション |
Research Abstract |
高分子溶液の微小流動に関する研究は、塗装、インクジェット印刷技術、電子デバイス作製などの多くの分野でその重要性が認識されている。本研究では、それら応用技術のプロセス制御に関する基礎研究として、高分子溶液の溶媒蒸発に伴うゲル化による膜形成過程のモデル化および実験を行った。その結果、以下のような知見を得た。 高分子溶液の乾燥過程においては、溶媒蒸発に伴う高分子濃度の変化により溶液の物性は大きく変化する。特に高濃度の場合には、ゲル化し弾性をもつようになる。このような状況では、溶媒蒸発に伴い弾性変形を生じるので、蒸発が抑制される。実際我々は、化学ゲルを用いた実験において、架橋密度を大きくすると蒸発速度が低下することを確かめた。また、簡単なモデルにより、ゲル化に伴う弾性効果により蒸発速度が低下することを理論的に示した。しかし、物理ゲルにおいては、状況は大きく異なり、蒸発速度に対する弾性効果はあらわれず、むしろ蒸発速度は大きくなることが実験的にわかった。これは、物理ゲルにおいては応力の緩和速度が蒸発による変形速度に比べてはるかに大きいため弾性効果は生じ得ず、むしろ水和水の影響で蒸発速度が大きくなっているためと考えられる。 溶媒の蒸発速度が速い場合には、溶液表面付近での高分子濃度が高くなり、ゲル状の皮膜(スキン)を形成する。この現象に対する定性的な議論は行われているが、その詳細なメカニズムは明らかにされていない。我々は、非接触の物性測定手法である電場ピックアップ法を用いて、皮膜形成過程の定量的な測定を試みた。局所的な電場によって変形された溶液表面の形状を測定する手法を開発し、表面形状の変化から皮膜の有無を評価する方法を開発した。
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Research Products
(33 results)