2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナトリウムイオン駆動型膜内回転モーターの力発生機構の解明
Project Area | Innovative nanoscience of supermolecular motor proteins working in biomembranes |
Project/Area Number |
18074003
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
本間 道夫 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50209342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小嶋 誠司 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教 (70420362)
村田 武士 千葉大学, 理学系研究科, 准教授 (80415322)
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Keywords | モーター / ナノテク / ナトリウムイオン / 生体エネルギー / べん毛 |
Research Abstract |
細菌べん毛モーターの回転は、共役イオン(H^+かNa^+)の膜を介した電気化学ポテンシャルをエネルギー源として利用している。海洋性ビブリオ菌(Vibrio alginolyticus)は、固定子タンパク質としてPomA、PomBを持ち、4A:2B複合体を形成する。この複合体中をNa^+が透過し、共役して回転力が発生する。PomAの3番目、4番目の膜貫通領域とPomBの膜貫通領域によってイオン透過経路は形成されると考えられている。PomBの膜貫通領域には、高度に保存された、べん毛の回転に必須なアスパラギン酸残基(PomB-D24)が存在し、Na^+結合残基として働く。今回、必須であるPomB-D24の負電荷を中和し運動能を完全に欠損した変異体から、運動能を回復させる抑圧変異体を得ることが出来た。この変異は、PomAの4番目の膜貫通領域のPomA-N194Dであった。この結果は、固定子複合体のイオン結合ポケットにおいて負電荷は必要とされるが、PomB-D24の位置である必要はないことを示唆している。タンデムに融合したPomAダイマーは、N末端側、C末端側どちらのPomAにPomA-N194D変異を導入しても、PomB-D24Nのバックグラウンドにおいて運動能が回復した。これは、PomB-D24は、PomAダイマーのどちらのサブユニットともイオン結合ポケットを形成できることを示唆している。これらのことは、固定子複合体のイオン結合メカニズムの新たな情報を与えた。さらに、ビブリオ菌の基部体は、大腸菌とは異なったTリングと我々が名付けた固有の構造と直径の大きいLPリングに特徴がある。今回、FlgTがLPリングの周囲に結合し、リング構造を形成していることを示した。この特異的な構造が、ビブリオ菌の非常に速い回転速度を安定につくる為に重要な役割を持つのかもしれない。
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Research Products
(7 results)