2008 Fiscal Year Annual Research Report
分子シミュレーションによるF1分子モーターの化学-力学エネルギー変換機構の解明
Project Area | Innovative nanoscience of supermolecular motor proteins working in biomembranes |
Project/Area Number |
18074004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 重彦 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 准教授 (70402758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池口 満徳 横浜市立大学, 大学院・生命ナノシステム科学研究科, 准教授 (60261955)
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Keywords | 分子モーター / 酵素反応 / 分子シミュレーション / QM / MM法 / 分子動力学法 |
Research Abstract |
今年度は、次のような研究成果を得た。(i)ATP反応待ち構造における平衡揺らぎの解析 : F1分子モーターのATP反応待ち構造においてMDシミュレーションを遂行し、平衡揺らぎの相関を明らかにした。特に、αとβサブユニットの間の顕著な揺らぎの相関を見出し、酵素活性の共同性におけるそれらの間の構造揺らぎの重要性を明らかにした。(ii)ATP反応待ち構造における加水分解反応機構の解析 : ATP加水分解反応の反応機構をQW/MM法を用いて解析した。その結果、反応の遷移状態はプロトン移動であることを明らかにした。また,ATPγSアナログ基質の反応性も計算することにより、加水分解反応の際の水分子の活性化がリン酸のP(γ)-O(β)結合解離の後に引き起こされることを証明した。(iii)ATP結合待ち構造のモデリング : 外力をかけて構造変化させるsteered MDとある特定の目標構造に向かってモデリングを行うtargeted MD法を併用し、未解明のATP結合待ち構造のモデリングを行った。(iv)εサブユニットのX線溶液散乱実験と構造モデリング : εサブユニットのATP結合型と非結合型の溶液構造をX線溶液散乱法により測定した。その結果、ATP結合型は結晶構造に相当する散乱が得られたが、非結合型はかなり伸びた構造であることが明らかになった。また,本領域の久掘グループにより決定された葉緑体型のεサブユニットの立体構造をもとにMD計算を行い、各種のεサブユニットの動的構造の違いを明らかにした。
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Research Products
(14 results)