2006 Fiscal Year Annual Research Report
受粉反応時に「ゲノム障壁」を誘起する花粉・柱頭因子の分子遺伝学的解析
Project Area | Genome Barriers in Plant Reproduction |
Project/Area Number |
18075003
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡辺 正夫 東北大学, 大学院生命科学研究科, 教授 (90240522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 剛 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (10314444)
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Keywords | 高等植物 / ゲノム障壁 / 新規不和合性 / 花粉-柱頭相互作用 / 遺伝子破壊系統 / 表現型 / 遺伝子発現 / 分子マーカー |
Research Abstract |
高等植物では、同種の自家花粉・他家花粉の他にも異種など様々な花粉が柱頭上に受粉される。自家不和合性植物では、同種異株の他家花粉で受精する。つまり、その柱頭上では、自己に加えて異種など異なるゲノム構成の花粉を排除する「ゲノム障壁」が存在するが、実体は明らかになっていない。本申請では、新規不和合性、生殖器官特異的遺伝子の機能と生殖とを絡め、受粉反応時に「ゲノム障壁」を誘起する遺伝子の実体解明を行うことを目的とする。 今年度は、その雌雄の新規不和合性因子単離を目指して、分子マーカーの単離・分離集団の作成を行った。花粉側は、育成した分離集団からSSRマーカーを用いて連鎖解析を行ったが、連鎖マーカーは単離できなかった。今後は、異なる遺伝的背景を持つ分離集団の作成が重要と考えた。一方、雌ずい側因子は、柱頭側UI系統に対し、異なる交配親であるS9 rapid cycling系統を戻し交雑を行ったところ、表現型の分離比は期待通り、1:1であった。この組み合わせを用いてさらに遺伝学的解析を行うことで、今後目的の遺伝子が単離できることが予想された。 遺伝子発現調節では、近年着目されつつあるsmall RNAを葯において網羅的に解析を開始した。塩基配列を決定したところ、既存のsmall RNAも含まれていることから、葯でもsmall RNAが重要な機能を保持していることが期待された。 また、温度も種を維持するときの大きな障害となる。そこで、耐冷性の異なるイネ品種を19oCの冷水掛け流し圃場で育成し、葯の発達の変かを調査した。その結果、耐冷性弱のササニシキでは、タペートの肥大が確認された。今後は、今年度、集めた葯サンプルを用いて、遺伝子発現の違いから、その機能を推定することを計画している。
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Research Products
(5 results)